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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「まだ続く『夏休み』」

株式評論家 富田隆弥

◆パウエルFRB議長の講演(23日、ジャクソンホール)を控えてマーケットは様子見気分を強めた。夏の甲子園(高校野球)も終わったし、ジャクソンホール(経済政策シンポジウム、24日まで)を終えるとマーケットも動き出すと思われる。

◆ならば、週明け26日からの動向がポイントになるが、米国の長短金利逆転(逆イールド)、ドイツなど欧州の景気悪化、各国で相次ぐ利下げ、バブルと言われる国債相場、香港のデモ、米中問題、日韓問題などなど、地政学リスクや不透明要素は膨らむ傾向にある。日米とも株価は8月に調整を入れ、日足チャートはまだ心許なく、目先上昇したとしても好転を確認するまで様子見スタンスが続くことは想定しておきたい。

日経平均株価(22日終値2万628円)は8月になり調整を強めたが、6日の2万110円で下げ止まり、その後は2万300~2万700円でもみ合いが続く。この流れを日足チャートでいうなら「一段下げ後の踊り場」であり、この先「二段下げ」に進むリスクを抱えた状況だ。上から降りてくる25日移動平均線(2万1000円近辺)を抜くなら好転の兆しも出るが、逆に2万100円を割り込むと二段下げ突入を覚悟しなければならない。

NYダウ(21日終値2万6202ドル)も日足の流れは似ており、2万7300ドル台から一段下げとなり、いま2万5500~2万6200ドルで踊り場を描く。上から降りてくる25日移動平均線(2万6500ドル近辺)を抜くのなら好転の可能性も出てくるが、逆に2万5500ドルを割り込むと二段下げリスクが台頭する。

◆ちなみに、為替(ドル円)の日足チャートも似た状況で、好転の兆しを見せるには107円10銭を超す円安が必要で、逆に105円を割り込む円高になると100円方向に走る可能性が高まる。

◆いまマーケットは上記の如く様々な要因を抱えており、「リスク回避」に傾く要素が少なくない。マーケットにとって一番の好材料は「米中貿易摩擦の解消」だが、それがすぐに期待できないのであれば「リスク回避→円高→日本株軟調」という図式が続くことは否定できないだろう。

◆そのような状況を映してマーケットには「売り」が溜まっている。売り方の買い戻しを誘って意外高に発展する可能性はあるのだが、そのためには日足チャートの好転(200日移動平均線を抜く2万1300円以上)が必要だ。10月から消費増税のある日本。外国人投資家の売りも続いており、明確な好転を確認するまで安易な楽観は控えたい。もう少し夏休みを続けるのも悪くない。

(8月22日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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