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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「下値正念場のNYダウ」

株式評論家 富田隆弥

◆大型台風10号が帰省ラッシュの日本列島を襲った。夏休みのこの時期は例年静かになるマーケットだが、「米中摩擦」の暗雲が漂う今年は「株式」、「為替」、「債券」ともに大きく振れた。株式市場は薄商いのところを需給(AI指令)で大きく振らされた格好だが、チャートは右肩下がりを徐々に強め、リスク回避の姿勢が続く。

NYダウ平均は400ドル上げたかと思えば800ドル下げ、日経平均株価は2万0200~2万0700円で乱高下した。大きく振れた要因は米国だ。13日に、USTR(米通商代表部)が9月に発動する対中制裁関税「第四弾」に関し、スマホやPC、ゲームなど個人消費への影響が懸念される品目は12月15日までの発動延期を発表し、株式市場はこれを好感した。だが、翌14日に長短金利(10年債&2年債)が12年ぶりに逆転すると、景気後退(リセッション)の兆しと警戒されて株式市場は急落した。

◆長短金利が逆転しても、過去の経験則から「景気後退も、株価の下落もすぐには起きない」との解説を多く目にした。市場関係者の楽観は引き続き多いようだが、米国株はマネーバブルを10年以上続けて過去最高値水準にある。そして、いまは「AI」が売買を指図するだけに過去の経験則が当てはまるとは限らないだろう。

◆例えばNYダウでみると、13日の一時500ドル高では売り方が踏まされた(ショートカバー)が、買い戻しが一巡した翌14日は新たな売りが仕掛けられて800ドル安につながったと言える。夏休み期間で薄商いのところを先物主体の「AI」指令が相場を大きく振らしたということ。つまり、対中制裁や逆イールド(長短金利逆転)は売買指令を出す一つのキッカケであり、相場の動向を決めるのはやはり「需給」となる。

◆米中交渉、逆イールド、景気指標、企業業績、FRB、欧州景気、香港デモ、そしてトランプ米大統領のツイートなど、今後も「AI」が察知する文言がカギを握るだろうが、NYダウのチャートを見ると調整色を濃くしており、今後は「需給」も「AI」の察知する文言も「売り」につながるケースが増えることが懸念される。

◆15日のNYダウ終値は2万5579ドルだが、200日移動平均線(2万5590ドル近辺)や52週移動平均線(2万5650ドル近辺)に差し掛かり下値の正念場を迎えている。6月は似た状況から大きく切り返したが、同じように切り返すには少なくとも75日移動平均線(2万6300ドル近辺)や13週移動平均線(2万6300ドル近辺)を突破しなければならない。切り返せずに下げが続くようだと昨年12月並みに高値から5000ドルの調整懸念(2万2000ドル台)が浮上しよう。

◆日経平均は8月6日の2万110円で下げ止まったが、その後は2万500円中心に大きくもみ合う。このもみ合いが下値固めなのか、それともここを踊り場として二段下げに向かうのか、ここから動く方向が焦点になる。騰落レシオやRCIなど短期テクニカル指標が底値圏にきており、目先戻りを試してもおかしくないところだが、チャートは日足、週足とも移動平均線を軒並み割り込み「陰転」を確認しており、2万1000円まではアヤ戻りとして試練が続く。一方、2万円大台を割り込むと「二段下げ突入」として1万9000円指向も覚悟せねばなるまい。

◆そのほか、為替の円高や債券利回り低下などチャートは「リスク回避傾向」をみせている。こうしたチャートの流れが続くうちは慎重スタンスも続く。チャンスの訪れを「待つのも相場」である。

(8月15日 記、毎週土曜日に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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