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【通貨】為替週間見通し:ドルは弱含みか、重要指標悪化で大幅利下げの可能性残る

米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより

【先週の概況】
■7月利下げを想定してドル売り強まる

先週のドル・円は弱含み。6月の非農業部門雇用者数の急増を受けて米連邦準備制度理事会(FRB)の大幅利下げ観測は後退し、ドル・円は108円99銭まで買われた。しかし、10日、11日に行われたパウエルFRB議長の議会証言で、「6月連邦公開市場委員会(FOMC)以降の不透明性が引き続き見通しを抑制している」との見解が伝えられたことから、7月を含めた年内複数回利下げ観測が再び広がり、ドル売り・円買いが優勢となった。中東情勢の緊張度が高まっていることもドル売り材料となった。その後、米国の6月消費者物価指数が市場予想を上回り、米長期金利が上昇したことから、ドル・円は一時108円台半ばまで反発する場面があった。

12日のニューヨーク外為市場でドル・円は、108円35銭まで強含んだのち107円81銭まで下落した。6月の米生産者物価指数(PPI)が予想を上回ったため、リスク選好的なドル買いが観測されたが、シカゴ連銀エバンス総裁のハト派発言で、7月利下げ観測を受けたドル売りが優勢となり、ドル・円は節目の108円を割り込み、107円89銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:107円81銭-108円99銭。

【今週の見通し】
■ドルは弱含みか、重要指標悪化で大幅利下げの可能性残る

今週のドル・円は弱含みか。今月末の連邦公開市場委員会(FOMC)における0.50ポイントの利下げ観測は消え去っていないことから、ドルの上値はやや重くなりそうだ。中東情勢の不安定化で地政学リスクの増大が懸念されていることもドル売り(円買い)材料となる。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は10-12日の議会証言で、6月18-19日のFOMC以降は世界的に製造業などの景況感が悪化と指摘。また、賃金の鈍化がインフレの上昇ペースを弱めるとの見方を示した。

先に発表された6月雇用統計はまずまず良好だったことから、7月30-31日のFOMCでの政策金利の引き下げ幅は0.25ポイント(25bp)にとどまるとみられていたが、パウエル議長のハト派的な見解で0.50ポイント(50bp)の利下げの思惑が再浮上した。今週発表される6月小売売上高などの重要経済指標が大幅に悪化した場合、0.50ポイントの利下げを想定してドル売りが強まる可能性がある。中東情勢の不安定化で地政学的リスクが急速に高まった場合もドルを下押しする可能性がある。

【米・6月小売売上高】(16日発表予定)
16日発表の6月小売売上高は、予想外の伸びを示した5月実績(前月比+0.5%)には届かない見通し。個人消費減退の思惑が広がれば、4-6月期国内総生産(GDP)の鈍化観測でドル売りが予想される。

【米・7月フィラデルフィア連銀景況調査】(18日発表予定)
18日発表の米7月フィラデルフィア連銀景況調査(景気動向指数)は5.0と、6月の0.3から改善が見込まれる。ただ、今月末の利下げは確実視されており、同指数が市場予想に沿った内容でもドル買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。

予想レンジ:106円50銭-109円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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