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【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「日米株式、上に控える厚い節」

株式評論家 富田隆弥

◆5月に厳しい二段下げを演じた日米株価だが、日本株が6月3日、米国株が4日に突っ込み安値をつけたあとは戻りに転じている。だが、日足チャートは5月の下落で「陰転」しており、ここからの戻りは“アヤ戻り”(リバウンド)として上に多くの節が待ち構えていることを承知しておきたい。

◆4月高値から6月早々の安値まで日経平均株価は▼9.2%、 NYダウは▼7.5%、 ナスダックは▼10.8%と大きく下落した。いずれも一目均衡表の遅行線が「雲」下限に差し掛かり、RCI(順位相関指数)が底打ち信号を灯したことで、6月3日、4日が当面の安値になった可能性は高い。ナスダックの6月3日7292ポイントは、5月3日高値8164ポイントからの二段下げ計算値「N波7409、V波7308」にも到達した。

◆ただし、5月の下落過程で25日線、75日線、200日線といった移動平均線や一目均衡表の「雲」を割り込んでおり、日足チャートが好転の兆しを灯すにはそれらを突破しなければならない。

◆日経平均(6日終値2万0774円)であれば、25日線、75日線、200日線が2万1203円~2万1736円に、一目均衡表の「雲」が2万1339円~2万1834円(いずれも6日現在)にあり、遅行線の「雲」上は2万1300円台になることから「2万1000円台」が上値の厚い壁になる。

◆同様にNYダウ(5日終値2万5539ドル)であれば、75日線(2万5926ドル)や一目均衡表の「雲」(2万5951~2万6268ドル)が壁であり、それらを突破するまで戻りの正念場が続こう。

ドル円相場は4月末の112円近辺から6月5日に107円81銭まで円高を強め、日足チャートはやはり陰転を暗示した。そして、6日現在108円22銭と、株価に比べると戻りが鈍い。株価は「買い戻し」が上昇を演出するが、為替の場合は「円の買い戻し」が少なくない。また、米国の利下げ観測に伴う「日米金利差縮小」や、米中貿易戦争の長期化懸念、欧州や中東の地政学リスクなどでマーケットに「リスク回避」の空気が漂っていることも円安への戻りを重くしていると言える。

◆もう一つ、日足チャートで心配なのは中国「上海総合指数」だ。4月3200ポイント台のダブルトップから5月2830ポイント台まで下落し、6月も2822ポイントとジリ安基調が続く。一目遅行線の「雲」下限が2784ポイント近辺にあり、上海総合がここで下げ止まるのか注視しておきたい。ここで支え切れずに下げが続くようだと、懸念材料に「中国」も加わることになる。

◆「ファーウェイ排除」の影響でファーウェイ社は事業縮小を余儀なくされているとの観測もある。米国市場は歴史的な過剰流動性を背景に歴史的高値を形成し、そして陰転を暗示した。目先下げ止まった日経平均とNYダウだが、下値不安が払拭されたわけではなく、上に控える厚い節を突破するまで安易な楽観は慎みたい。 

(6月6日 記、毎週土曜日10時に更新)

情報提供:富田隆弥のチャートクラブ

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