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【通貨】為替週間見通し:ドルは底堅い動きか、堅実な米経済指標でドル買い戻しも

米ドル/円 <日足> 「株探」多機能チャートより

【先週の概況】
■米中貿易摩擦長期化を警戒してドルは110円を下回る

先週のドル・円は軟調推移。節目の110円を下回った。トランプ米大統領が対中関税を25%に引き上げると表明したことや、中国が予定されている米中協議の中止を検討しているとの報道を受けて、リスク回避的なドル売り・円買いが強まった。中国製品に対する輸入関税が25%に引き上げられた場合、中国は報復関税の発動などの相応の行動をとることが予想されたことも、リスク回避的な取引拡大につながった。ドル・円は9日の欧米市場で一時109円47銭まで下落した。

10日のニューヨーク外為市場でドル・円は、109円48銭まで反落した後、110円04銭まで反発。米国が2000億ドル規模の関税引き上げを発動し、世界経済に悪影響を及ぼす可能性があることから、リスク回避の円買いや米国金利の先安感にともなうドル売りが観測された。しかしながら、米中協議終了後に、両国の閣僚やトランプ大統領が「協議は建設的だった」と伝えたことから、協議継続への期待が高まり、ドルを買い戻す動きが広がった。米国株式が上昇したことも好感され、ドル・円は109円98銭でこの週の取引を終えた。ドル・円の取引レンジ:109円47銭-110円96銭。

【今週の見通し】
■ドルは底堅い動きか、堅実な米経済指標でドル買い戻しも

今週のドル・円は底堅い動きか。トランプ政権は中国からの輸入品に対し税率引き上げに踏み切ったことで、貿易戦争再燃への懸念が強まり、リスク回避的な円買いが観測されたが、米中両国による協議は継続すると見込まれており、リスク回避的な円買いはやや後退するとみられる。米国の個人消費は堅調さを保っていることや、製造業の景況感は回復しつつあることが確認できれば、リスク選好のドル買いが入りやすい。

中国の劉鶴副首相は中国メディアとの共同インタビューで、「両国は今後、北京で話し合いを継続することで合意した」と語った。同副首相は「中国が原則について妥協することは決してない」と述べているものの、閣僚級協議で米中間の対話が継続されることになれば、交渉決裂などの最悪シナリオは回避され、円買いは縮小するとみられる。

一方、4月の米小売売上高や5月フィラデルフィア製造業景気指数など経済指標が堅調な内容だった場合、米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げ観測は再び後退し、ドルを買い戻す動きが広がりそうだ。とはいえ、世界的な景気減速懸念がすみやかに払しょくされることは期待できず、ドル高・円安が急速に進行する可能性は低いとみられる。

【米・4月小売売上高】(15日発表予定)
15日発表の4月小売売上高は前月比+0.3%と、3月の+1.6%から伸びが鈍化する見通し。予想外に強含んだ3月の反動とみられる。ただ、利下げ観測は後退しており、市場予想とおおむね一致すれば、ドル売り材料にはならない見込み。

【米・5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数】(16日発表予定)
16日発表の米5月フィラデルフィア連銀製造業景気指数は11.0と、4月の8.5から改善が見込まれる。市場予想と一致すれば、製造業活動拡大への思惑が広がり、ドル買いに振れそうだ。

予想レンジ:108円50銭-111円50銭

《FA》

 提供:フィスコ

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