【市況】国内買い手に変調の兆し、決算への市場の反応がカギ <東条麻衣子の株式注意情報>
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
直近の日本株式市場は米国・中国の株式市場の上昇を背景に、外国人投資家による先物買いが主導する形で堅調な相場展開が続いている。ただし、過度な楽観には注意が必要ではないかと見ている。
その理由だが、国内買い手の動きに変調の兆しがうかがえることを挙げたい。
■信託4行の19年度投資計画
先週末19日付の日本経済新聞は「国内年金マネーの主要な運用主体である大手信託銀行が、再び国内株比率の引き下げに動く。2019年度の国内株比率は前年度より0.5ポイント低い27%にする計画。引き下げは2年ぶりで、6年ぶりの低水準となる」と報じた。
一方で、「米国債を中心とする外国債券の比率を高める。19年度の投資比率の平均は前年度比2.5ポイント増の12.8%。遡れる07年度以降で最高だ」としている。
大手信託銀行とは、みずほ信託銀行、三井住友信託銀行、三菱UFJ信託銀行、りそな銀行の4行。今回このような投資計画となった要因として、日本株の上昇期待の乏しさを挙げ、「19年度末の日経平均株価の見通しは4行平均で2万2637円」と伝えている。
■信託銀行と株式市場
大手信託銀行は日本を代表する機関投資家だ。今回報じられた信託4行の日本株比率引き下げからは、国内機関投資家は総じて日本株に対して弱気であると推測できる。
また、報道が指摘しているように「確定給付年金の運用計画は、信託銀の投資比率の変動を参考にする例が多い」ことにも注意が必要だろう。
もし信託銀行の日本株投資比率の低下に連動する形で年金運用でも日本株比率が引き下げられるとなれば、それだけ下落局面で日本株を下支える力が弱まる可能性がある。
外国人投資家の買いにより上昇を続けている日本の株式市場だが、その背景には『日銀のETF買い』や『GPIF』『日本の機関投資家』による買い支えを期待している向きも少なからずあろう。
こうした中、10連休を挟んで決算発表が本格化する。日本企業の性質上、中国の景気回復を想定した形での強気な今期予想は出しにくいだろうし、10月に予定される消費税引き上げの影響もマイナス要因として考慮した決算となるのではないか。
市場が既にこうした流れを織り込んでいるのであれば良いのだが、決算で明らかになる今期予想の数字に対し過剰にネガティブに反応するようであれば、下支える力が弱まる可能性があるだけに警戒が必要だ。
◆東条麻衣子
株式注意情報.jpを主宰。投資家に対し、株式投資に関する注意すべき情報や懸念材料を発信します。
■ 株式注意情報.jp http://kabu-caution.jp/
■ Twitter https://twitter.com/kabushikichui
株探ニュース