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【特集】アップル参入で新ストーリー始動、「動画配信関連」この銘柄に熱視線 <株探トップ特集>

18年の動画配信の国内市場規模は前年比2割増の2211億円。5年後の23年には3000億円に拡大するとみられている。ビジネスチャンスを拡大させる映像制作会社や動画広告会社は要注目となる。

―米アップルの動画配信サービス参入が業界を活性化、新局面入りで鍵を握る銘柄と今後の展望―

 米アップルが現地時間3月25日、サブスクリプション型のサービスを拡大すると発表した。従来の音楽配信に加えて、今秋から動画とゲームの配信サービスを開始するという。

 特に注目されたのは動画配信サービス 「アップルTV+」で、同社も資金を出して著名な映画監督や俳優らと連携し、他の動画配信サービスでは見られない独自の映画や番組を制作するという。発表会場にはスティーブン・スピルバーグ監督らも駆けつけ、同サービスに対する期待を表明した。

 日本でも人気の動画配信サービスだが、アップルの参入により市場は更なる活性化が期待できる。これによる恩恵を受ける企業も増えるとみられ、改めて関連銘柄に注目したい。

●動画配信市場は23年に3000億円へ

 今では当たり前のように多くの人が楽しむ動画配信だが、インターネットによる動画視聴が広がったのは、2005年に設立した「YouTube 」が米グーグル社に買収された06年あたりからといわれている。その後、ブロードバンドをはじめとしたインターネット環境の改善や携帯電話・スマートフォンなどのモバイル端末の進化などによりユーザー数が拡大。また、それを受けて幅広い企業が広告宣伝などの目的で利用するようになり、広告ビジネスをはじめとした収益モデルが構築されていった経緯がある。

 調査会社のGEM Partners(東京都港区)の「動画配信(VOD)市場5年間予測(2019-2023年)レポート」によると、18年の国内動画配信市場は、前年比19.5%増の2211億円だったと推計されている。また、今後5年間年平均6.3%で成長し、23年には市場規模は3000億円に拡大する見通しだ。

●配信フォーマットでは海外勢が攻勢

 動画配信業界における収益源は主に広告料とユーザー課金であり、広告収入を主とする形態では「YouTube」をはじめとして、米IBMの「Ustream」などが有名だ。一方、ユーザー課金を主とする形態では、世界トップの事業規模を誇る米ネットフリックスの「Netflix」や、米NBCユニバーサルや21世紀フォックスなど大手メディアの合弁事業として始まった「Hulu」、米アマゾンの「Prime Video」などが世界的な大手とされる。

 前述のGEM Partnersの調査によると、国内では、最も市場規模が大きい定額制動画配信市場ではNTTドコモ <9437> の「dTV」がシェアトップだが、海外勢の「Netflix」やスポーツ専門の「DAZN」などの成長率が他のサービスと比較して大きく伸びているとしており、日本勢が押されつつある情勢となっている。

●多角化図る「AbemaTV」

 アップルの参入により、更に海外勢の勢いが増すとみられる動画配信サービス市場だが、こうしたなかで注目されるのは、「Netflix」「DAZN」と並んで成長率が高いとされた、サイバーエージェント <4751> グループの「AbemaTV」だ。同事業の業績は依然として先行投資による赤字が続いているが、有料会員数や広告・課金収入は右肩上がりで上昇しており、売上高は順調に拡大中。18年から19年にかけての年末年始の1週間当たり利用者数は918万人に達し、ギネス記録を更新したことでも話題となった。

 今後は、オリジナル番組の版権販売などを強化するほか、公営ギャンブルを放送し、投票券を買える仕組みを提供するなどして視聴者数と売上高を伸ばす予定で、赤字縮小への取り組みを強める方針だ。

●映像制作会社のビジネスチャンス拡大へ

 一方、アップルの参入で動画配信市場が活性化すれば、動画広告 を制作する企業のビジネスチャンス拡大が期待できる。動画広告は効果が高いことから需要が増えており、足もとでナショナルクライアントによるYouTubeなどへの出稿が増加している。それに伴い制作に対する需要も強まっている。

 映像コンテンツ事業や映像制作 サービス事業を展開するIMAGICA GROUP <6879> は、映像コンテンツ事業やメディア・ローカライゼーション事業で、インターネットの動画配信に関連したビジネスを展開。ネット向けの売上高の割合については非開示としているが、「動画配信の需要が盛り上がれば、当社の事業についてポジティブに働く」(企画部)としている。

 また、AOI TYO Holdings <3975> は、動画を中心としたオンラインコンテンツの戦略立案などを行う子会社Quark tokyoの売上高が18年12月期は前の期比7.9%減の22億円だったが、19年12月期は25億円を見込む。「動画制作の受注は年々増加しているが、現状では人材の獲得が難しく、18年度は売り上げを大きく伸ばすことができなかった。ただ、今後もニーズは拡大するものとみている」(IR)としている。

●動画広告業界にも恩恵

 更に、動画配信サービス市場の活性化は、動画広告市場の拡大を加速させる。インターネット広告大手のオプトホールディング <2389> やセプテーニ・ホールディングス <4293> [JQ]、アドウェイズ <2489> [東証M]などへ好影響を与えそうだ。

 このほか、YouTubeで活躍するクリエイターなどのマネジメント業務を行うUUUM <3990> [東証M]は、所属するクリエイターがインフルエンサーとしての価値を高めており、動画配信サービス産業で優位なポジションを得ている。動画広告市場が拡大するなか、同社のアドセンス及び広告収益が市場の拡大ペースを上回って伸長。また、所属クリエイターのグッズ販売も好調だ。

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