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【特集】檜和田浩昭氏【日経平均700円安! この暴落は売りか買いか】(3) <相場観特集>

檜和田浩昭氏(東洋証券 投資調査部部長)

―俄かに存在を大きくした景気後退懸念とどう向き合う?―

 週明け25日の東京株式市場は欧米株安と円高、アジア株下落などが覆いかぶさり、日経平均株価が一時700円を超える急落となった。昨年12月25日の“クリスマス暴落”以来の下げ幅で文字通りの全面安商状、にわかにリスクオフ相場の色を強めている。じりじりと上値を慕う動きをみせては一気に値を崩す展開が年初から続いているが、中期トレンドの分水嶺である75日移動平均線近辺で売り買いを交錯させる今回はどうか。第一線で活躍する市場関係者に見解を聞いた。

●「10連休前まで日経平均は2万500~2万2000円で推移」

檜和田浩昭氏(東洋証券 投資調査部部長)

 週明け25日の東京株式市場は、日経平均が前週末比650円安と急落した。これは、前週末22日に欧州や米国で発表された経済指標が軒並み市場予想を下回ったことや、米長期金利の指標である10年債利回りが、財務省証券(TB)3ヵ月物の金利を下回る“逆イールド(長短金利逆転)”となり、これらが景気後退を示唆するものと受け止められ、同日のNYダウ平均株価が前日比460ドル安と急落したのを嫌気したものだ。ただ、“世界的な景気後退懸念”は、既に昨年から言われ続けてきたことで、いまさら感があることも事実だ。

 日経平均は、3月上旬にも急落して、いったん2万938円まで下落する場面もあった。今後、3月末にかけては配当再投資の買い、4月新年度に入れば機関投資家などからの新規資金の買いなどが想定できることもあり、下げ一辺倒の相場は想定しづらい。とくに今年は、新天皇陛下のご即位に伴う新元号の発布など、国民に慶祝ムードが高まることも株式市場にとって追い風となることが想定される。

 したがって、今後10連休入りまでの日経平均のレンジは、下値は2万500円、上値は2万2000円を少し上回る程度と想定している。4月に入ると新年度に好業績が見込める企業に対する個別物色の輪が広がりそうだ。ただ、今年の場合、10連休で長期間売買できなくなり、その間海外株式市場は稼働していることから、連休前にはリスク回避のために持ち高を減少される売りが顕在化し、軟調推移となる懸念もある。

 今後の物色対象としては、まず内需系の好業績銘柄に注目したい。内需株のなかでのテーマとしては、働き方改革関連、シルバー世代関連、アミューズメント系のサービス事業関連に関心が向かいそうだ。更に、世界的なレベルでの構築が待ったなしとなっている5G(第5世代移動通信システム)関連に継続注目したい。これに対応した設備投資の需要は息の長い拡大が見込めることから、関連銘柄のビジネスチャンスは拡大しそうだ。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(ひわだ・ひろあき)
1990年東洋証券入社、府中・横浜・福山支店で個人のリテール営業を経験。2002年情報部を経て11年2月からアジア部ストラテジストとして日本株と中国株を中心に相場分析を担当。その後、投資調査部次長、マーケット支援部長を経て現職。日本FP協会正会員(CFP)。日本テクニカルアナリスト協会検定会員(CFTe)。株式講演会講師、新聞取材など多数。

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