【経済】NYの視点:米3月FOMCでハト派サプライズに備える
米連邦準備制度理事会(FRB)は19-20日に連邦公開市場委員会(FOMC)を開催する。欧州や中国経済の成長鈍化や貿易政策への不透明感から、政策金利を据え置く公算。さらに、当面利上げを見送る方針を再確認すると見られている。また、FRBは現在実施している4兆ドル規模のバランスシート縮小策を巡る方針を明確化する見通し。FRB高官は流動性をひっ迫させるバランスシートの縮小を年末には終了させる必要があるとの見解を示している。
FRBは2018年、米国経済の回復が予想を上回ったことや強い雇用を受けて、4回の利上げを実施。政策金利であるFF金利誘導目標レンジは2.25%-2.5%に達した。1月FOMCではFRBは大きく方針を転換。バイアスを排除し、経済の展開次第で金融政策を決定する方針を発表。米国経済の成長を抑制すると見られるいくつかの逆風である、欧州や中国経済の弱さ、市場の変動率の急伸、貿易や英国の離脱を巡る政治的な不透明感が明確になるまで、利上げを見送る方針を表明した。パウエル議長は会合後の会見で、インフレが抑制されており、国外の懸念がくすぶる中、FRBは引き続き金融政策に「辛抱強さ」が必要と訴えた。
クラリダ副議長はFRBが当面政策を現状で維持する理由として、1)日本や欧州などの中央銀行の金融政策が依然危機時の水準から脱出していないこと、2)今回の景気回復期にも平均インフレが依然2%を割り込んでいること、の2点を挙げた。FOMC時に公表されるスタッフ予測(ドットチャート)では、FRBが経済見通しや金利の見通しを引き下げる可能性が強いと見られている。
バークレイズ銀は顧客レポートの中で、ハト派サプライズがリスクになると指摘。
●成長見通しを0.1%ポイントほど引き下げ
●失業率見通しは0.1%ほど引上げる可能性
●インフレ見通しは据え置き
●2019年の利上げは1回(従来2回)、
利上げ終了する金利水準は2.5%-2.75%、中立金利は2.5%
パウエル議長やクラリダ米連邦準備理事会(FRB)副議長は政策金利がすでに中立水準のレンジ下限に到達したと判断している。「金利はすでにピークに達した」と見ているエコノミストもいる。ハト派サプライズはドル売りに繋がることになる。ただ、ハト派色が予想よりも弱い場合は、ドルのショートカバーが予想される。
《CS》
提供:フィスコ