【市況】米国株式市場見通し:パウエル議長の議会証言に注目
先週のFOMC議事録では、今後の金融政策についての議論はなかったものの、少なくとも今年前半は金利を据え置く公算が高い。26日と27日に上下院で予定されるパウエルFRB議長の議会証言では、年後半の金融政策について何らかの示唆が得られるかが焦点となりそうだ。貿易摩擦を巡る米中協議は、3月下旬にトランプ大統領と習近平国家主席の首脳会談開催が検討されているとの報道もあり、交渉が決裂するリスクは低いだろう。合意内容の詳細が伝われば、素直に好感される可能性が高い。
今週は小売各社の11-1月期決算が多数予定されている。主な決算ではホームセンターのホーム・デポ(26日)やロウズ(27日)、百貨店のメーシーズ(26日)、JCペニー(28日)、ノードストローム(28日)、家電量販店のベストバイ(27日)、ディスカウントストアのTJX(27日)、アパレルのギャップ(28日)などが予定されている。低調な12月小売売上高は、金融市場の混乱や政府機関の一部閉鎖が影響し、昨年末に景気が減速したことを示唆しており、小売決算には警戒感が広がっている。メーシーズは、通期の利益見通しを引き下げており、軟調決算が予想される。昨年末に中国事業から撤退しており、今後の経営戦略について注目したい。
経済指標では、1月シカゴ連銀全米活動指数(25日)、12月住宅着工・建設許可(26日)、2月消費者信頼感指数(26日)、12月製造業・耐久財受注(27日)、10-12月GDP改定値(28日)、1月個人所得・支出(1日)、2月ISM製造業景況指数(1日)などが予定されている。10-12月GDP改定値は、1%前半など低調な内容となれば米経済減速への先行き懸念が強まることが予想されるため、注意が必要だ。28日は、中国の2月製造業景況指数が予定されているほか、1日は、2月新車販売台数の発表が予定されている。
25日から28日にかけて、世界最大規模の携帯通信関連見本市「モバイルワールドコングレス2019(MWC)」がバルセロナで開催される。第5世代移動通信規格(5G)対応の携帯端末や、インターネットに接続が可能で情報通信端末としても使用できるコネクテッドカーなどの発表が予想される。グーグル、マイクロソフト、インテル、クアルコム、フェイスブックなどのハイテク大手も出展予定で、仮想現実(VR)をはじめ、ドローンやロボットへの通信技術にも注目が集まりそうだ。中国通信機器メーカーの華為技術(ファーウェイ)に絡んだセキュリティー懸念を巡る対応で、米国と欧州各国の足並みが揃っていないことから、MWC開催中の駆け引きが激化する恐れもある。
(Horiko Capital Management LLC)
《FA》
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