【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米景気指標、FOMC議事録、国内貿易収支
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限21250-下限20750円
来週の日経平均は21000円を挟んだ地固めの展開となりそうだ。1ドル=110円への円安とNYダウの切り返しをきっかけとして、日経平均は前週に21000円を回復した。しかし、日米ともに企業の決算発表シーズンを終えて全般的に手掛かり材料に欠けてきており、一段の上値追いに向かう材料とエネルギーが乏しいとみられる。引き続き、為替相場や米中の株価動向に影響を受けやすい展開となることが予想される。12月小売売上高が9年ぶりの大幅減少となったことで、米国経済の減速懸念が再燃する中、米2月フィラデルフィア連銀製造業景況感指数や米1月CB景気先行総合指数など21日に集中する米国の経済指標には警戒感が台頭しやすくなろう。一方、3月1日の対中関税引き上げ期限の延期も報道される中、米中貿易問題はカウントダウンのタイミングに入り、市場は一段と神経質になるとみられる。前週末に今週も米国で米中通商協議が継続されることはサプライズとなったが、引き続き出てくる報道に一喜一憂する展開が続こう。
テクニカル的に日経平均は、上昇に転じている5日移動平均線と25日移動平均線上で推移している。13日、14日と取引時間中では下降中の75日移動平均線を一時上回る場面もあったが、終値では抜け切れずに、その後週末にかけて失速した。目先は75日線(21163.83円)が上値を抑える形となっている。ただ、15日の急落場面では8日以来となる日銀の上場投資信託(ETF)買い入れも実施され、日経平均は終値ベースで5日移動平均線(20876.44円)を上回って引けており、上昇トレンドの継続を示している。さらに、昨年12月調査の日銀短観における国内の大企業製造業の想定レート1ドル=109.41円よりも円安水準にある現状の為替相場も、株式相場の下支え要因として働くことになる。物色的には、2月末と3月末を控えて、配当を始めとする各種権利取りの買いから、下値では買い需要も高まりやすいだろう。高配当利回りの銘柄には関心が向かいやすくなる。このほか、2月以降にネットイヤー<3622>、デサント<8114>、カブドットコム証券<8703>、ユーシン<6985>など株式公開買付け(TOB)の発表が相次いでいることも注目すべき動きだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は下げ渋りか。米中政府は北京で行っていた閣僚級貿易協議を終え、今週ワシントンで協議を再開する方針を明らかにしたことから、協議進展を期待した円売りは継続する可能性がある。
米連邦準備制度理事会(FRB)は利上げを休止するとの見方が広がっていることや、世界経済の減速懸念が消えていないことはドルの下押し要因となりそうだが、ユーロ圏の景気減速を懸念したユーロ売りや英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)の不透明感を背景としたポンド売りによって、安全逃避のドル買いが入りやすい。直近の米インフレ指標の伸び率は鈍化しており、12月の小売売上高は9年ぶりの大幅減が示された。2月末に発表予定の10-12月期国内総生産(GDP)が低調な内容だった場合、新たなドル売り材料となるだろう。
ただ、米国金利の先高観はすでに後退しており、現時点でリスク回避的なドル売りが大きく広がる可能性は低いとみられる。欧州委員会が今年と来年の域内経済の成長について下方修正したことや、ドイツ経済の悪化を警戒してユーロ売り・米ドル買いは継続する可能性がある。スペインにおける政治不安が台頭していることもユーロ売り材料になるとみられる。
こうした欧州リスクから逃避資金がドルに流入する展開で、ドル・円の取引ではドル買いが縮小する可能性は低いとみられる。ドル・円は14日にかけて111円13銭まで上昇した。110円は短期的な下値目途(サポートポイント)になるとみられており、ドル・円が110円台を維持している間は、リスク回避的なドル売りが大きく広がる可能性は低いと予想される。
■来週の注目スケジュール
2月18日(月):国内機械受注、タイGDP、米株式市場は祝日で休場など
2月19日(火):欧経常収支、英失業率、米NAHB住宅市場指数など
2月20日(水):国内貿易収支、ユーロ圏消費者信頼感指数速報値、米FOMC議事要旨など
2月21日(木):独PMI、米耐久財受注、米PMI、インドネシア中銀が政策金利発表など
2月22日(金):中国新築住宅価格、米NY連銀総裁などが講演、ドラギECB総裁が講演など
《SK》
提供:フィスコ