【注目】話題株ピックアップ【夕刊】(2):東電HD、三井不、キリンHD
東電HD <日足> 「株探」多機能チャートより
東京電力ホールディングス<9501>など電力株が全般下げ相場のなか頑強な値動きをみせた。中国景気の減速懸念を背景に輸出株セクターは逆風が意識されているが、その半面でディフェンシブストックに位置付けられる内需株の一角には買いが優勢となった。電力株もその流れに乗った。前日にディフェンシブ関連は戻り待ちの売りに値を下げるものが目立ったが、きょうは再び買い直される展開。特に電力株は為替の円高や原油市況の下落が収益面でメリットとなるセクターであり消去法的な買いが向かった。
■クスリアオキ <3549> 7,200円 +170 円 (+2.4%) 本日終値
クスリのアオキホールディングス<3549>が反発。28日の取引終了後に発表した1月度(12月21日~1月20日)の月次営業速報で、既存店売上高が前年同月比6.5%増となり、22カ月連続で前年実績を上回ったことが好感された。客数が同4.1%増と増加基調を継続したことに加えて、客単価が同2.3%増と上昇したことが寄与した。なお、全店売上高は同17.6%増だった。
■三井不動産 <8801> 2,603.5円 +45.5 円 (+1.8%) 本日終値
三井不動産<8801>、三菱地所<8802>、住友不動産<8830>など大手不動産株が全体相場に抗して強い値動きをみせた。日銀の金融政策は超緩和環境を維持する方向が確認され、有利子負債の大きい大手不動産にとってはポジティブな環境が担保されている。また、東京のオフィスビルは極めて需給タイトな局面が続いている。昨年12月時点の都心5区の空室率は1.88%と統計開始以来の最低水準となっており、収益環境面でも追い風が強い。きょうは中国景気の減速懸念が投資マインドを冷やし、相対的に内需関連に目が向きやすい地合いであることも不動産株に資金が流れる背景となっている。
■キリンホールディングス <2503> 2,601.5円 +34 円 (+1.3%) 本日終値
キリンホールディングス<2503>はしっかり。傘下のキリンビバレッジがこの日、5月1日出荷分から清涼飲料の大型ペットボトル商品の一部を値上げすると発表しており、これを好材料視した買いが入った。対象となるのは、「アルカリイオンの水」「生茶」「午後の紅茶」などのブランドの20商品についてで、希望小売価格を20円引き上げる。物流費の上昇や原材料価格の高騰が続いており、経営効率化など自助努力だけでは各種コストの上昇分を吸収することが困難な状況と判断し値上げに踏み切るとしている。
■ANAホールディングス <9202> 3,976円 +50 円 (+1.3%) 本日終値
ANAホールディングス<9202>が反発に転じ4000円大台復帰をにらむほか、JAL<9201>も同様に3900円台で強含んでいる。全体相場は米株安を引き継ぎ軟調だが、前日はWTI原油先物価格も急落しており、リスクオフの流れを助長した。しかし、空運セクターは原油価格下落が燃油コストの低下につながるため収益メリットとなる業種であり、足もとの株価にもポジティブに働いている。業種別騰落率で「空運」は、同じく原油安がコスト改善につながる「電力」と値上がり率首位を争う状況にある。
■太平洋セメント <5233> 3,720円 +45 円 (+1.2%) 本日終値
太平洋セメント<5233>が続伸。日経平均は前日に続き下値模索の展開を強いられているが、同社株は2日続けて全体相場に逆行する動きをみせている。2019年度予算では18年度予算と比較して顕著に増加したのが社会保障関連費と公共事業費。18年度比で9000億円の上積みとなった。「国土強靱化基本計画」の見直しが昨年12月に閣議決定され、インフラ強化に投入する予算が計上されている。国内シェア4割弱を占めるセメント最大手の同社株に対する評価も変わりつつあり、年初からの一貫した下値切り上げ波動につながっている。
■ディー・エヌ・エー <2432> 1,953円 +23 円 (+1.2%) 本日終値
ディー・エヌ・エー<2432>がプラス圏に浮上。同社はきょう、集英社(東京都千代田区)とエンターテインメント領域での共同事業を行うための新会社「集英社DeNAプロジェクツ(仮称)」を2月21日に設立することで合意したことを明らかにした。新会社の出資比率はDeNAが51%、集英社が49%となる予定。今後の取り組みとしてまず、両社の強みを生かしたIPゲームや、国内外に向けた新たなデジタルエンターテインメントサービスの共同開発などを予定しているという。
■大成建設 <1801> 5,090円 +40 円 (+0.8%) 本日終値
大成建設<1801>、大林組<1802>、鹿島<1812>などゼネコン株が全般軟調相場のなか頑強な値動きをみせた。前日に米国株市場が中国景気減速懸念を背景に売られる展開となり、輸出株には向かい風の強い地合いとなっている。一方、内需系で国土強靱化の政策テーマに乗る建設セクターは相対的に買いが集まりやすい。安倍政権では昨年12月、2020年度までの3年間で総事業費7兆円規模の「国土強靱化」の緊急対策を決めており、これがゼネコンをはじめとする建設会社に収益恩恵をもたらすとの思惑が底流にある。
■キーコーヒー <2594> 2,023円 +3 円 (+0.2%) 本日終値
キーコーヒー<2594>は続伸。同社は28日の午後2時過ぎに、4~12月期連結決算を発表した。売上高は前年同期比0.2%増の488億円、営業利益は同10.1%増の8億4800万円と好調だった。天候不順による売上減少、原材料価格及び人件費の上昇の影響があったものの、販売単価の改善や、配送費や倉庫保管費などの物流コストの抑制したことで2ケタ増益につながった。19年3月通期の業績予想は営業利益が前年比2倍の6億5000万円と従来見通しを据え置いた。ただ、足もとの営業利益はすでに見通しを超えており、今期業績は会社予想を上回り着地することが期待されている。
■ソフトバンク <9434> 1,422円 +1 円 (+0.1%) 本日終値
ソフトバンク<9434>が底堅い。軟調地合いのなかも5%を超える配当利回りが下値を支える根拠となり、1400円近辺は買いが厚い。同社株は昨年12月19日に鳴り物入りで東証1部に上場した。上場初日は公開価格1500円を大きく下回り、その後も売りに押され12月20日には1176円まで下値を切り下げたが、年末を境にバランスを立て直し切り返しに転じてきた。1400円台は戻り待ちの売りも高水準で上値も重いが、高配当利回りを背景に押し目は継続的に拾われている。あす30日にTOPIXに組み入れが予定されていることで、指数連動型ファンドの買いニーズが期待されている。
株探ニュース