【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:EU離脱代替案提示、日露首脳会談、中国10-12月GDP
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限21250-下限20000円
来週の日経平均は、引き続きNYダウと為替動向をにらみつつも上値を試す場面がありそうだ。今3月期業績を増収増益から一転して減収減益予想とした日本電産<6594>の下方修正は、改めて中国を中心とした世界経済の後退を意識させた。しかし、発表を受けての日本電産の18日株価は安寄り後に下げ幅を縮める展開をみせた。同じく通期業績を10日に下方修正した安川電機<6506>も発表後に株価は上昇しており、主力ハイテク株は警戒感を抱えながらも業績修正に対して株価の下方硬直性を示し始めている。東証1部の出来高が17日に11億株台と昨年の大納会水準に低下するなど、買い手掛かりに欠ける展開とはなっているものの、過度な弱気心理は後退しつつあることも確かだ。ただ、第3四半期決算発表の本格化を28日以降に控え、模様眺めムードが継続する可能性もある。東京製鐵<5423>が22日に第3四半期決算を迎え、主力銘柄の決算発表がスタートする。第1のピークは31日で約400社、第2のピークは2月8日の約550社だ。
一方、テクニカル的にみた日経平均は、5日移動平均線が下値サポートして反転態勢を維持する一方、25日移動平均線も上回ってきたことで、20500円前後で煮詰まる動きとなっていた日足チャートは上放れの様相となった。基調は陽転を示している。ここから21000円近辺までは昨年12月19日からの日経平均が5日続落で急落したゾーンにあたり戻りに弾みが付きやすい。心理的な節目となる21000円及び13週移動平均線が位置する21160円が意識されてきそうだ。18日のシカゴ日経225先物清算値は大阪比295円高の20925円となっており、21000円台回復への挑戦が期待される。こうしたなか、中国の経済指標が相場全体への影響度を増し始めており、日本時間21日午前11時の取引時間中に発表される予定の中国10-12月期GDPが注目される。発表によって相場全体にアク抜け感が広がる期待もある。このほか、18日にかけて5日続伸となっているマザーズ指数、日経ジャスダック平均を受けて中小型株にも循環物色が広がりそうだ。
■為替市場見通し
来週のドル・円は底堅い展開か。米経済減速の思惑が広がっていることから追加利上げ観測は後退しているものの、英国の欧州連合(EU)離脱交渉の見通しは不透明であり、ドル買い・欧州通貨売りが再び広がった場合、ドル・円の取引にも影響を与えそうだ。米中貿易摩擦の早期緩和への期待が広がっていることもドル買い・円売りを促す一因となりそうだ。
今年に入って発表された米経済指標の低調な内容が目立つ。1月NY連銀製造業景気指数と12月生産者物価指数(PPI)はいずれも予想を下回った。フィラデルフィア製造業景気指数は堅調だったが、製造業全般の景況感は改善していないとみられている。インフレ関連の指標は弱含みとなっており、米連邦準備制度理事会(FRB)が利上げ休止を検討するとの観測が広がっている。
ただ、年始の水準からドル・円は緩やかな上昇基調が続く。ドル上昇の主要因は、米中対立の解消期待や英国の欧州連合(EU)からの離脱(ブレグジット)交渉を巡る不透明感によるポンド売り(米ドル買い)との見方が出ている。ブレグジットの進展などで楽観的な見方が広がった場合は、リスク選好的な円売りが強まるため、ドル・円相場が円高方向に振れる可能性は低下するとみられる。
また、1月24日開催の欧州中銀(ECB)で当局者からブレグジットの悪影響や域内経済の回復への悲観的な見解が提示された場合、ユーロ売り・米ドル買いが活発となりそうだ。トランプ政権の対中貿易関税引き下げへの思惑も、ドル買い・円売りを誘発する要因となる。米国企業の10-12月期決算の発表で好業績が続けば株高に振れ、ドルを押し上げる展開が予想される。なお、トランプ大統領の一般教書演説の延期が議論されており、予算編成をめぐり政府と議会の対立は長期化している。政治不安を嫌って米国株式が下落する可能性は残されており、株価動向を注意深く観察していく必要はありそうだ。
■来週の注目スケジュール
1月21日(月):中国GDP・鉱工業生産指数・小売売上高、メイ首相がEU離脱代替案提示、IMFが世界経済見通し公表など
1月22日(火):日スーパーマーケット売上高、英失業率、米貿易収支、米財政収支、露・安倍首相とプーチン大統領が首脳会談など
1月23日(水):日本電産決算発表、黒田日銀総裁が会見、米FHFA住宅価格指数など
1月24日(木):独PMI、米PMI、インテル決算発表など
1月25日(金):米耐久財受注など
《SK》
提供:フィスコ