【市況】国内株式市場見通し:日経平均は2万円台での値固めへ
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■NY連騰で日経平均は5週ぶり上昇
先週の日経平均は上昇し、週間ベースでは6週ぶりのプラス転換となった。メキシコ国境での「壁」建設に絡んでトランプ大統領と民主党幹部との会談が不調に終わり、一部連邦政府機関の閉鎖が継続する懸念材料を抱えながらも、米中貿易摩擦を巡る高官協議による進展期待と米利上げペース減速への期待を背景にNYダウが10日に掛けて5日続伸し約1カ月ぶりに24000ドル台を回復したことが日経平均の戻りに寄与した。7日の日経平均は、パウエル連邦準備理事会(FRB)議長が金融政策の調整余地について言及したことなどが安心感につながり、前週末比704.26円高まで上昇する場面があった。円相場が強含みとなったことを受けて、買い戻し一巡後は伸び悩んだものの、8日の日経平均も好地合いを引き継ぐ形で続伸した。米ハイテク株高を好感したソフトバンクG<9984>やレーティング引き上げ観測のファナック<6954>の上昇が日経平均を押し上げた。9日も米中貿易交渉が順調に進展しているとの見方とアジア株高から堅調な展開を持続した。10日は1ドル108円を割り込む円高を嫌気するなか、前日までの連騰で日経平均の上昇幅が865円に達していたことから利益確定売りが先行し、4日ぶりの反落となった。前日に日本工作機械工業会が、2019年の年間工作機械受注額が3年ぶりのマイナスになりそうだとの見通しを発表したことも警戒材料となった。11日の日経平均は米国株の続伸や為替の円高一服を受けて反発した。ただ、今年最初のオプションSQ値(1月限)は 20290.67円で着地し、朝方の買い物が一巡した後は、3連休を控えて模様眺めムードが広がり積極的な上値追いは手控えられた。
■為替動向に注意、テクニカルは堅調維持を示唆
今週の日経平均は20000円台を固める展開が見込まれる。NYダウは現地4日から10日の5日続伸で1315ドル超の上昇幅を見て一服のタイミングが見込まれ、日経平均はこれに影響を受けて伸び悩む可能性がある。先の米中通商協議では明確な合意がなく、次回の主席交渉官協議へと持ち越しになった。米予算を含む政府機関閉鎖、米金融政策、欧州政治リスクと不透明要因が重なる中で、日経平均は為替動向に影響を受けやすくなることが予想される。また、再来週21日はキング牧師誕生記念日で米国市場は3連休を控えていることも週後半の見送りムードを高めることにもなりそうだ。ただし、テクニカル的にみた日経平均は7日以降、上昇中の5日移動平均線上での推移を堅持しており、基調的には水準訂正高の動きが継続と見ることができる。20800円近辺に低下してきた25日移動平均線が目先の上値メドとして意識されるが、21000円近辺までは昨年12月に短期で急落した価格帯にあることから、買いのエネルギー次第では戻りに弾みが付く可能性もある。
■決算発表控えで個別株物色
物色的には、主要3月期企業の第3四半期決算発表を21日からの週に控え、今週は4営業日であることも相まって手掛かり材料に欠ける週となろう。3月期決算企業および設備投資、中国関連株の指針となる安川電機<6506>は、10日に通期予想を下方修正したものの、株価は織り込み済みとなって売り買いが交錯した。また、主要上場企業の第2四半期(4-9月)決算時の企業想定為替レートは1ドル約110円、12月調査の日銀短観による想定為替レートは1ドル109.41円であり、現状の為替はこれよりも円高となっていることから、主力ハイテク株も買いが続きにくい。米国では14日にシティ、15日JPモルガン、16日にバンク・オブ・アメリカ、ゴールドマン・サックスと金融株を先陣に決算発表が本格化する。なお、アップルの決算発表予定は29日だ。決算を控えて大型株が動きにくい中、中小型株の個別株物色が継続されそうだ。
■工作機械受注、中国貿易収支、米小売売上高など控える
今週の主な国内経済関連スケジュールは、14日は成人の日で休場、15日は12月マネーストック、12月工作機械受注、16日は11月機械受注、12月企業物価指数、11月第3次産業活動指数、18日は12月消費者物価指数の発表がそれぞれ予定されている。一方、米国を含む海外経済関連スケジュールでは、14日に中国12月貿易収支、アジア金融フォーラム(15日まで、香港)、15日に米12月生産者物価指数、米1月ニューヨーク連銀景気指数、EU離脱案の英国議会採決、16日に米12月小売売上高、米11月企業在庫、米1月NAHB住宅市場指数、米地区連銀景況報告(ベージュブック)、17日に米12月住宅着工件数、米1月フィラデルフィア連銀景気指数、18日に米12月鉱工業生産指数、米12月設備稼働率が予定されている。このほか、国内外で予定されているイベント・トピックスとしては、14日にデトロイト北米国際自動車ショー(27日まで、一般公開は19日から)開幕、16日はライブドア・ショックから13年、皇居で歌会始の儀、第160回芥川賞・直木賞発表、17日は阪神・淡路大震災から24年、愛知県知事選告示(2月3日投開票)、19日は大学入試センター試験(20日まで)となっている。なかで、歌会始めのお題は2018年が「語」だったが、今年は「光」で、当日に発表される来年のお題が一部で注目されている。
《FA》
提供:フィスコ