【市況】富田隆弥の【CHART CLUB】 「二段下げ、2万割れ覚悟も」
株式評論家 富田隆弥
◆話題のソフトバンク(SB) <9434> だが、上場初日は悲惨な結果になった。公開価格1500円に対して初日の終値は14.5%下回る1282円。買わされた投資家はたまったもんじゃない。全体の地合いが悪かったとはいえ、証券業界と親会社ソフトバンクグループ <9984> の見通しの甘さ、無責任さは問われてしかるべきだろう。
◆そのSB株の影響もあり、日経平均株価は19日に2万1000円の下値ポイントを割り込み、20日に2万0282円まで突っ込んでしまった。10月に2万4448円の高値から2万0971円まで下げ、その後1ヵ月半ほど踊り場を形成したのだが、この突っ込みでチャートは「二段下げ」に入ってしまった。二段下げの下値を探るとN波、V波とも「1万9200円」処なので、この先2万円割れを覚悟しておくべきかもしれない。
◆ただ、テクニカル的には底値信号を灯している。今年の安値だった3月26日の2万0347円に並び、12月11日安値の2万1062円→12月13日高値の2万1871円で計算する短期のV波2万0253円、12月3日高値の2万2698円→12月11日安値→12月13日高値で計算するN波2万0235円にも迫ってきた。20日は新安値銘柄が1078(東証1部)を数え、騰落レシオは短期6日線40%、同25日線74%と低下しており、そろそろ下げ止まることも想定される。
◆うまくすれば「掉尾の一振」に向かう可能性も出てこよう。20日という日は、ソフトバンク(SB)上場やFOMC、日銀政策金融決定会合など注目イベントを終えたところで、クリスマス休暇前という事情からポジション調整やヘッジなどの売りが重なったことも想定される。個別株には信用取引の追い証に伴う見切り売りも出ていたに違いない。空売り比率が47%(20日現在)に増加するなど、相場急落で市場には売り(空売り、ショートなど)が溜まっているので、反転となれば買い戻しによる急反発もあるだろう。
◆ただ、相場(チャート)はテクニカル指標より流れ(トレンド)が優先されるので、反転には日足の短期上値抵抗線と節目の重なる2万1100円を回復せねばならず、好転を確認するには少なくとも12月13日に上値を抑えた25日移動平均線(20日現在2万1658円)を上抜く必要がある。相場であるから反発する局面も来るだろうが、こうした上値ポイントを突破するまでは「アヤ戻し」であり、掉尾の一振を見せたときにはどこまで戻せるかが焦点となろう。2018年相場もラスト1週。最後ぐらいは証券業界に頑張ってほしいと願うばかりだ。
◆2019年の新年相場に関しては次回(1月1日配信予定)で触れさせてもらうが、チャートとしては陰転を明確にしていることからまずは慎重姿勢がベースになりそうだ。
(12月20日 記、毎週土曜日に更新)
情報提供:富田隆弥のチャートクラブ
株探ニュース