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2018年10月03日13時30分

【特集】プラチナ底入れへ、通商リスク後退とパラジウム堅調で買い戻し <コモディティ特集>

minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行

―米加NAFTA再交渉合意でリスク選好、需給改善見通し強まるなら1000ドル視野―

 プラチナ(白金)の現物相場は、米中の貿易戦争に対する懸念が後退したことやパラジウム急伸を受けて堅調となり、9月21日に1ヵ月半ぶりの高値838.94ドルを付けた。8月に米連邦準備理事会(FRB)の利上げ見通しや貿易戦争に対する懸念などを受けて2008年10月以来の安値756.5ドルを付けたが、米国の中国製品に対する第3弾の制裁措置で関税率が抑えられたことなどで買い戻しが入った。

 また、 パラジウムは供給ひっ迫に対する懸念が残るなか1000ドル台を回復して急伸し、1月以来の高値1095.28ドルを付けた。1月に付けた史上最高値1137.64ドルに近づいており、プラチナの支援要因である。さらに9月末には米国とカナダが北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉で合意し、リスク選好の動きとなった。米自動車関税によるカナダ自動車業界への打撃は避けられており、プラチナの需給改善見通しが強まるようなら、底入れし、1000ドルを目指す可能性が出てきた。

●米中の貿易戦争に対する懸念後退と北米新協定で通商リスク後退

 トランプ米政権が発表した2000億ドル相当の中国製品に対する制裁関税が9月24日に発動し、中国も600億ドル相当の米国製品に対する報復措置を取った。当面の関税率が10%と低く抑えられたことから市場で貿易戦争に対する懸念が後退した。李中国首相が、輸出促進のための人民元押し下げは行わないと述べ、貿易摩擦への対応手段として為替を利用しない考えを示したことも先行き懸念を後退させる要因となった。

 ただ、中国は米国との通商協議を取りやめ、貿易戦争は長期化する見通しである。トランプ米大統領は中国からの輸入品全額に課す第4弾の制裁措置の可能性を示唆しており、実行されるかどうかが次の焦点である。

 一方、カナダ、メキシコ、米国の3ヵ国は9月30日に合意し、3ヵ国協定は維持されることになった。新協定では、カナダ側が米国の不当な関税措置への対抗手段として不可欠としていた紛争解決制度が維持されることになったが、カナダ乳製品市場への米酪農業者のアクセスが拡大された。プラチナにとっては、米自動車関税によるカナダ自動車業界への打撃が避けられたことが支援要因である。

●プラチナは買い戻し主導の上昇

 米商品先物取引委員会(CFTC)の建玉明細報告によると、ニューヨーク・プラチナで売り方に回っていたファンド筋の買い戻しが進み、9月25日時点で買い越しに転じた。9月4日時点で1万1916枚と過去最高の売り越しとなっていたが、25日時点で2690枚の買い越しとなった。買い玉は8月半ばからのレンジを上放れた18日時点で増加したが、25日には減少しており、テクニカル要因の一時的な買いとなった。今後は需給改善を見込んだ買いが入るかどうかが焦点である。

 一方、プラチナETF(上場投信)残高は9月28日時点のロンドンで9.70トン(8月末9.97トン)、米国で18.89トン(同19.20トン)に減少、南アフリカで23.86トン(同23.38トン)に増加した。欧米で投資資金が戻るかどうかも焦点である。

●パラジウムは米新車販売の動向次第で史上最高値意識か

 パラジウムは米中の貿易戦争に対する懸念後退をきっかけに急伸したのち、北米新協定合意を受けて利食い売りが出た。しかし、需給のバロメーターとなるリースレート(貸出金利)は1ヵ月物が7.7%台で推移しており、供給ひっ迫に対する懸念が残っている。

 9月の米新車販売台数はハリケーン「フローレンス」の影響で大幅減となった。ただ、2018年は当初、金利上昇などの影響でさらに減少すると予想されたが、これまでのところ失業率の低下などを背景に販売は予想を上回った。米調査会社LMCオートモーティブは今年の販売予想を引き上げ、1720万台と前年からほぼ横ばいになるとした。今後の販売動向次第では史上最高値を試す可能性も出てくる。

 欧州自動車工業協会(ACEA)によると、8月の欧州連合(EU27)の新車(乗用車)登録台数は前年同月比31.2%増の約110万台となった。7月は同10.5%増の約130万台。1~8月は前年同期比6.1%増の1080万台となった。9月1日から義務化された「乗用車等の国際調和排出ガス・燃費試験法(WLTP)」を前に自動車各社が値引きによって在庫を一掃した。
 一方、中国汽車工業協会(CAAM)によると、8月の中国の自動車販売台数は前年同月比3.8%減少の210万台となった。1~8月は前年同期比3.5%増の1810万台。CAAM幹部は会見で、7月と8月はマクロ経済の状況が消費者の財布のひもを固くしたと説明した。7月は4.0%減だった。米国との貿易摩擦はさほど影響力のある要因ではないものの、「不確実性をもたらし、消費者をより慎重にさせた」と述べた。CAAMは、今年の中国自動車市場が前年と同じく3%拡大するとの予想を据え置いた。欧州や中国の販売動向も確認したい。

(minkabu PRESS CXアナリスト 東海林勇行)

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