【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:米中貿易摩擦の行方、新興市場底打ち兆し、バイオ物色
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
■株式相場見通し
予想レンジ:上限22800-下限22300円
来週は日経平均は、上値の重さを意識しながらも堅調な展開になることが見込まれる。行方が不透明な米中貿易摩擦、上海総合指数の推移などが懸念材料として引き続き横たわっている。8月3週(13-17日)の投資主体別売買動向では、海外投資家が3週連続の売り越しとなり、売り越し額も3449億円強と4月以降では6月第3週に次ぐ売り越し額となった。先物との合算では6885億円の売り越し規模に膨らむ。中国情勢が不透明な中、アジアを対象とするファンドでは、日本株の売りによるヘッジを行っているとの見方もあることは懸念材料だ。一方で、米国金利と景気動向をにらんだ為替の円安進行があれば、円安に連動する先物の買い戻しが働き日経平均の上昇が想定される。実際、為替のドル高・円安が手掛かりとなり24日の日経平均は上昇し、5日、25日、75日の各移動平均線を上方にブレイクアウトし、テクニカル的には陽転の兆しを示した。31日に日経平均が22642.18円を上回ってくれば3カ月連続の月足陽線ともなる。米トランプ政権は2000億ドル規模の対中国制裁第3弾を準備中で、9月中の国内手続き完了が見込まれる。ただ、今後の米中協議のスケジュールは具体化していないため、目先の波乱要素が無いことは中立材料に働く。
物色的には9月のイベントを意識した展開が高まってくることが予想される。まず、9月第1週には日経平均採用銘柄の定期入れ替え銘柄の発表(4日もしくは5日大引け後)が見込まれており、インデックス売買は動きにくさが生じてくる。入れ替え予想については、新規採用でサイバーエージェント<4751>、日本取引所グループ<8697>、シャープ<6753>、任天堂<7974>、スタートトゥデイ<3092>、除外候補として宝ホールディングス<2531>などの名が市場から挙がっている。このほか、機関投資家、個人投資家ともに、9月中間期末の配当・株主優待権利取りが本格的に意識される時期に入り、需給関係は改善されてくることが期待される。また、顕著な出来高の増加は伴っていないが、マザーズ指数、ジャスダック平均が24日にかけて3日続伸と底打ち兆しを見せてきたことも好材料だ。このほか、9月7日の自民党総裁選告示(9月20日投開票)を控えて、立候補予定者である安倍首相、石破元幹事長の掲げる政策が物色テーマとなってくる可能性もある。さらに、中小型株への関心が戻るなか、ビジネスデイ開催を9月20日に控えた東京ゲームショウや秋の学会シーズン入りを前にしたゲーム、バイオ関連銘柄への動意の広がりが注目される。
■為替市場見通し
来週のドル・円は上げ渋りか。米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ継続方針を背景にリスク選好的なドル買いは続くとみられるが、米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨で指摘されたように、米中貿易摩擦によるアメリカ経済の下振れが意識されそうだ。
ただ、トランプ米大統領は利上げに反対していることや、ロシア疑惑の再燃でドル売りが優勢となっても、ほどなく値を戻すためドルの下値の堅さが意識されているようだ。背景にあるのは9月と12月の利上げ観測で、29日発表の4-6月国内総生産(GDP)改定値など主要経済指標が市場予想と一致した場合はドル買い材料となるだろう。
22日公表されたFOMC議事要旨(7月31日-8月1日開催分)で、利上げ継続の方針が改めて示されたが、貿易摩擦の国内経済への影響もテーマとなり、今後の下振れリスクが共有された。パウエル米FRB議長は24日の講演で「米国経済は著しく改善した」と述べたが、「緩やかな利上げが適切」との見方も示した。利上げペース加速の思惑は後退しており、大幅な利上げを想定したドル買いが増える可能性は低いとみられる。
■来週の注目スケジュール
8月27日(月):中工業利益、独IFO企業景況感指数、米シカゴ連銀全米活動指数など
8月28日(火):ユーロ圏マネーサプライ、米消費者信頼感指数など
8月29日(水):消費者態度指数、米4-6月GDP改定値、米中古住宅販売成約指数など
8月30日(木):商業動態統計、独失業率、ユーロ圏景況感指数、米個人消費支出など
8月31日(金):鉱工業生産指数、中製造業PMI、米シカゴ購買部協会景気指数など
《TM》
提供:フィスコ