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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 経験則は生きるか?!

株式評論家 植木靖男

「経験則は生きるか?!」

●買い一巡後の展開が鍵を握る

 日経平均株価は7月5日の2万1546円を安値(終値ベース)に、9日には明確に買い転換した。その直後に一時急落したが、それも1日のみ。あとは順調に上値を追っている。

 一時、急落したのは結果論になるが、買い方を振り落としたことになり、相場は軽くなった感がある。そのせいか週末にかけて軽快な上昇テンポに変わっている。

 また、空売りを誘ったことも結果よしだ。空売り比率は、ここもと日々40%を超えている。オプション取引をみてもプットの売買が高止まりしている。いかに米中貿易摩擦の激化に投資家が怯えているかがうかがわれる。

 だが、材料よりも株価の値動きの方がより正しいし、強気派にすれば、弱気派が増えるのは大歓迎であろう。相場は常に“少数派が勝つ”ものだからである。

 さはさりながら、相場は水物でもある。仮にこの週末にかけ7月11日の安値(2万1932円)を下回るようであれば再び下値調べに逆戻りとなる。

 そうでなければ、経験則からみて週前半まで上昇、その後もみ合いに転じる可能性があろう。

 焦点はその後である。今後の相場を占う意味で最大の正念場を迎えるはずである。

 刀折れ、矢尽きて買いエネルギーが消滅し、再び下降相場に入るか、再び買いエネルギーを蓄えて上昇気流に乗るか興味深いものがある。

 もちろん、その時点での市場環境次第といえる。やはり米中貿易戦争の激化が材料となるが、米国では中間選挙に向けて各州の予備選が本格化する。一方、中国では8月にかけて例年通り北戴河会議が行われる。果たして、結末はいかに。

●目を離せぬ米中摩擦、中国株価・通貨

 その後、外交面では9月にはウラジオストクで東方経済フォーラムや国内では安倍首相が3選を狙う自民党総裁選もある。企業収益では円相場の動向が要注目だ。ここ早いピッチで円安となっているが、中国元通貨の展開次第では円高リスクもなしとしない。中国の株価、通貨とも目が離せない。

 では、今後の物色はどう見たらよいか。仮に日経平均が2万3000円を目指すとすれば、自ずと柱はハイテク株にならざるを得ないだろう。

 とはいえ、米国では情報サービス分野が景気の柱であっても、わが国でそうした分野には企業が見当たらない。だが、モノづくりにますます磨きをかけている。米国とわが国では、どうやら目指す方向が別のようだ。つまり、両国の「win-win」の関係が進化する公算もあろう。

 今回は、まずソニー <6758> に注目したい。為替リスクを回避する構造に変わっている。いずれ円が急騰する局面は間違いなく到来する。

 次に異色ながらソフトバンクグループ <9984> だ。世界の投資の分野でわが国が唯一競争できる期待の星といえよう。

 そして週末、ソフトバンクとファーストリテイリング <9983> の2銘柄で日経平均は約170円も押し上げられた。個人投資家が対応できるのは日経平均ブル2倍上場投信 <1579> [東証E]しかない。ポートフォリオに組み入れておきたい。

2018年7月13日 記

株探ニュース

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