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【特集】IT人材育成の担い手、「プログラミング教育関連株」開花へ<株探トップ特集>

文部科学省は22年度までの5カ年計画で、学校のIT環境整備や教員養成を強力に後押し

―2020年小学校必修化で市場急拡大、IT関連企業が相次ぎ参入―

 プログラミング教育ビジネスが活発化している。2020年から小学校でプログラミング教育が必修になるほか、高校では22年度に、共通必履修科目としてプログラミング学習を含む「情報1」を新設することが決まっている。

 さらに政府は、大学入試センター試験に代わって導入される予定の「大学入学共通テスト」にも、プログラミングなどの情報科目を導入する方針で、早ければ24年度の大学入学共通テストに導入される見通し。国を挙げてのIT人材育成に参入企業も増えており、ビジネスチャンスが拡大している。

●80万人弱のIT人材が不足になる!?

 第4次産業革命を推進するうえでIT人材は不可欠だが、経済産業省によると、若年層の人口減少に伴って、19年をピークにIT関連産業への入職者は退職者を下回り、人材は減少に向かうと予想されている。IT需要予測から推計される人材需要との需給ギャップから国内のIT人材は30年までに80万人弱が不足する見通しで、これが小学校からのプログラミング教育必修化の背景にある。

 小学校での必修化を追い風に、プログラミング教育市場は拡大が見込まれ、船井総合研究所(大阪市中央区)によると、国内の子ども向けプログラミング教育の市場規模は23年には13年比約34倍の226億円に急拡大すると予測している。市場規模はまだ小さいながら成長が見込まれる分野だ。

●必修化で教材や機材、人材育成が課題に

 小学校におけるプログラミング教育は、プログラミング言語の使い方を覚えることではなく、論理的思考力や発想力、問題解決力を養うのが目的という。ただ当然ながら、パソコンやタブレット端末などのIT環境を整備する必要がある。

 文部科学省は18~22年度の5ヵ年計画で学校のIT環境の整備を進めており、学習用コンピューターを3クラスに1クラス分程度確保するほか、大型提示装置・実物投影機の100%整備や、超高速インターネットおよび無線LANの100%整備などを目標として掲げている。また、学習教材や機材も必要なほか、プログラミング教育を行う教員の養成なども課題だ。

●IT関連企業から参入

 こうしたなか、ここにきて目立ち始めたのが、IT関連企業によるプログラミング教育分野への参入だ。

 新日鉄住金ソリューションズ <2327> は昨年9月、プログラミング学習サイト「K3Tunnel(ケイサントンネル)」を開設した。ビジュアル・プログラミングを使って、さまざまな「計算」にまつわる課題に挑戦することができるのが特徴。プログラミング自体を目的とするのではなく、「コンピューターの働きを実際の生活での問題解決に生かす」ことに焦点をあて、問題解決のための道具としてプログラミングを利用する学習コンテンツを提供している。

 同社は13年から定期的に東京都内の小学校でプログラミング教室を実施していたが、昨年8月にケイサントンネルを取り入れたところ、好評だったため一般販売を決めたという。今後はプログラミング教室向けにコンテンツの販売なども目指すという。

●通信教育業界でも新サービス続々

 また、通信教育分野では、最大手のベネッセホールディングス <9783> が今年4月から「進研ゼミ 小学講座」でプログラミング教育教材の提供を開始した。小学校4年生から6年生までが対象で、実際にプログラミングする前段階として、目的を実現するための手順を、試行錯誤しながら論理的に考える「プログラミング的思考」を育むのが目的だという。

 「スマイルゼミ」を展開するジャストシステム <4686> は今年3月、「スマイルゼミ 小学生コース」にプログラミング講座を加えた。同サービスは、専用タブレットを購入すると月額2980円から教育コンテンツを利用できる。プログラミング講座は年3回(春・夏・冬)の配信で、追加料金なしで受講できるという。

●早くも盛んなプログラミング教室

 プログラミング教育の必修化を控え、プログラミング教室も盛んだ。

 サイバーエージェント <4751> は、中学生・高校生向けのプログラミングスクールを展開するライフイズテック(東京都港区)と合弁で、小学生向けのプログラミング教育事業を行う子会社CA Tech Kidsを13年5月に設立。小学生向けのプログラミングスクール「Tech Kids School(テックキッズスクール)」を全国主要都市に展開しており、これまでに3万人以上の小学生にプログラミング学習の機会を提供している。

 また、学研ホールディングス <9470> では、「Gakken Tech Program」の名称で、小・中学生向けのプログラミングスクールを展開している。物事を論理的に考える力や、学校では学べないプレゼンテーション力などの育成に取り組んでいるのが特徴だ。

 一方、LITALICO <6187> が展開する「LITALICOワンダー」は、子どものペースで制作ができるよう、自由度の高い教室設計が特徴となっている。自分でゲームやアプリを作ったり、ブロック教材を組み立ててロボットを作るなど、ものづくりを通じて「考える力」を育てている。

●教員向け教材も

 こうした児童・生徒向けのプログラミング教育とは別に、懸念されているのが、教える側の教員の知識・経験の不足だ。授業の実施方法や具体的な指針が少ないなか、プログラミング教育の導入時には混乱が予想されており、この対策も急務となっているという。

 これに対して、前述のジャストシステムでは、「プログラミング教育」や「外国語(英語)」授業のスムーズな実践を支援する、小学校向け学習・授業支援ソフト「ジャストスマイル8」を来月発売する。プログラミング教育用教材では、教科の学びにプログラミングが役立つ単元を選定し、そのまま授業で活用できる20教材を提供する予定だという。

 また、大日本印刷 <7912> は、プログラミング教育に対応した指導教材「Switched on Computing(スイッチトオンコンピューティング)日本版」を開発した。プログラミング教育の先進国であるイギリスで広く使われている学習教材をベースにし、プログラミング授業の経験がない教員でも、円滑に指導を行えるようツールやサポートを充実させたのが特徴で、同社では20年度に約100自治体、約1000校への導入を目指している。

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