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【特集】大谷正之氏【米株暴落でも買い優勢! 東京市場は変わったか】(2) <相場観特集>

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

―日経平均のここからの上値余地と上昇期待の個別株を探る―

 週明け9日の日経平均株価は強さを発揮した。前週末の米国株市場ではNYダウが一時750ドルを超える暴落モードとなり、この波乱相場を受け東京株式市場もリスク回避ムードが高まることが予想されたが、フタを開けてみればさにあらず。前場こそ若干売りに押される場面はあったものの後場は一段高に切り返した。果たして新年度相場に入って地合いに変化はあったのか。待ち望んでいた上昇転換への手応えとここからの有望株について、市場第一線で活躍する関係者2人に意見を聞いた。

●「決算シーズン到来、好業績銘柄物色が戻り相場を牽引」

大谷正之氏(証券ジャパン 調査情報部長)

 今後、米中貿易交渉や米朝首脳会談を巡る問題など、株式市場にとっての懸念材料について、徐々に不透明感が払拭されリスクが軽減されてくるのではないか。そのなかで、日米の決算発表シーズンを迎えることになり、市場参加者の関心が企業業績に向かうものと予想される。19年3月期の収益見通しが明らかになるにつれ、好業績予想銘柄への物色を牽引役として、緩やかな戻り相場が形成されることになりそうだ。

 日経平均の動向で、当面上値の目標となるのは、2月27日につけた取引時間中の高値2万2502円05銭で、この水準までには戻り売りも想定されるため、やや時間を必要とするものの、ここを突破すれば2万3000円台回復を射程圏に捉えることができそうだ。

 4月後半以降から発表が本格化する19年3月期の業績見通しについては、足もとの円相場を反映して、控え目な予想が相次ぐことが見込まれる。ただ、市場コンセンサスとして控え目予想が事前に定着するようであれば、大きなネガティブサプライズは回避できるのではないか。

 個別銘柄では、化粧・日用品、一般用医薬品卸で業界最大手PALTAC <8283> に注目している。主要卸先のドラッグストアの売上高が訪日外国人客の増加などにより、今後も順調に拡大するものと予想される。19年3月期も化粧品や高単価の日用品の売り上げ増加が見込まれる。

 二つ目は、複数の求人ポータルサイトの情報を集約し、一括検索による応募が可能なサイト運営を手掛けるキャリアインデックス <6538> に期待している。19年3月期も、引き続き求人需要の高止まりが想定されるため、業績向上に向け追い風が加速しそうだ。

 三つ目として、セキュリティー対策ソフトとシステム構築を主力事業とするソリトンシステムズ <3040> を見直したい。同社は、モバイル回線で高画質動画をライブ中継できる軽量小型の映像電送機を開発しており、ドローンへの搭載で警備、災害管理、建設分野への需要拡大が期待される。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(おおたに・まさゆき)
1960年生まれ。立正大学文学部卒、83年丸和証券入社、営業を経て96年から現職。日本テクニカルアナリスト協会 検定テクニカルアナリスト(CFTe)、AFP(日本FP協会認定)、(内閣府認証)NPO法人金融証券マーケットフォーラム理事。トレンドの芽をいち早くキャッチすべく、フィールド重視の調査を心がけている。

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