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【特集】田部井美彦氏【円高警戒と底抜け日経平均、ここからの対応策は】(3) <相場観特集>

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

―2月14日の安値下回り、新たな下値模索局面に移行―

 東京株式市場は売り優勢の地合いが続いている。週明け5日に日経平均株価は一時フシ目の2万1000円台を割り込み、一番底とみられていた2月14日のザラ場安値2万950円をも下回った。再び下値模索の動きを強めるなか、投資家もここは買い向かうべきか見送るべきか大いに迷う場面といえる。為替のドル安・円高が大きな重荷となっており、全体相場の戻りを封じている。そこで、今回は株式市場の見通しや為替相場の見通しについて複数の専門家に意見を聞いた。

●「全体相場は下値模索も個別物色に活路見出す」

田部井美彦氏(内藤証券 投資情報本部 投資調査部長)

 外国為替市場で1ドル=105円台半ばへと円高・ドル安が進行していることや、トランプ米大統領が、鉄鋼とアルミニウムの輸入制限措置を発動する意向を表明したことにより、米国の貿易保護主義政策に対する懸念が広がっていることを考慮すると、当面の日経平均株価は下値模索の推移となりそうだ。

 ただ、自社株買いの活発化、3月期末を控えての配当取りの動き、4月新年度入り以降の外国人投資家による日本株買い越し期待感などから、3月後半には底値固めから反転上昇軌道に復帰する可能性もありそうだ。全体相場は下値模索が想定されるものの、個別銘柄に活路を見出す流れとなりそうだ。

 個別銘柄では、ソニー <6758> に注目。同社は、1ドル=1円の円高・ドル安が進行すると約35億円のメリットが生じる円高・ドル安進行メリット銘柄だ。同社は、CMOSセンサーなどの半導体関連、ゲーム関連、金融の成長3部門で利益の60%を稼ぎ出している。また、4月から吉田憲一郎新社長が就任し、新たな中期経営計画に基づいて成長加速に期待が掛かる。

 2つ目は、日清紡ホールディングス <3105> 。営業利益ベースの構成比率は、ブレーキ42%、不動産30%、エレクトロニクス18%となっている。同社は水質汚染の原因とされる銅の使用をほぼゼロに抑えた自動車用ブレーキ摩擦材を日米で量産する。また、白金を使わない燃料電池用の触媒を開発していることも注目材料。

 3つ目は、医療用医薬品のライセンス導入・導出および開発を手掛ける創薬ベンチャーのメディシノバ・インク <4875> [JQ]に注目。同社は、進行型多発性硬化症、ALS(筋萎縮性側索硬化症)、薬物・嗜好品依存症のそれぞれの治療に対応した新薬の開発を進めており、春の学会シーズンが到来するなか、最新の研究成果が明らかになるものと期待されており、これが株価面でも評価される可能性が高い。

(聞き手・冨田康夫)

<プロフィール>(たべい・よしひこ)
内藤証券シニアアナリスト。株式市況全般、経済マクロの調査・分析だけでなく、自動車、商社、アミューズメント、機械などの業種を担当するリサーチアナリストとして活動。年間200社程度の企業への訪問、電話取材、事業説明会への参加などを通して「足で稼ぐ調査・情報の収集」に軸足を置いている。

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