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【特集】大塚竜太氏【実質2月相場入り、相場の景色はこう変わる】(1) <相場観特集>

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

―強弱感対立、楽観ムード後退も下値では買い意欲旺盛―

 早いもので2018年相場も実質2月相場入りとなった。週明け29日の東京株式市場は朝高後に値を消す展開。為替市場の円高を横にらみに引き続き神経質な相場環境ながら、リスクを取る動きが再燃し値上がり銘柄数も1100を超えた。ひと頃と比べ楽観ムードは後退しているものの、押し目形成場面では出遅れていた向きの買いが入る状況にあり、先行きについては人によって見方の分かれるところ。そこで、先読みに定評のあるベテラン市場関係者2人に2月相場の読み筋を聞いた。

●「目先強弱感対立だが、見た目よりも強い相場」

大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)

 東京市場は前週後半の調整が利いてきょうは朝方買い優勢となっていたが、為替動向に左右されやすい今の地合いにあって、これを打ち消すような強気材料に乏しいというのは事実だ。しかし見方を変えれば、足もとは1ドル=108円台のドル安・円高で昨年12月時点の日銀短観の想定レートよりもはるかに円高に振れているにもかかわらず、日経平均株価が2万3000円台後半で売り物をこなしていることは、見た目以上に強い地合いであることを証明している。

 企業の四半期決算発表が本格化するなか、円高に伴う企業業績へのマイナス作用が懸念されているが、実際に悪影響としてはほぼ第4四半期に限られることで、今期業績への収益押し下げ効果は大きなものではない。問題は、今の円高局面が今後も続くかどうかという点だが、日米金利差をベースに円高がここから一段と加速することは考えにくいとみている。

 ムニューシン米財務長官のドル安容認発言も、マスコミがその部分だけを切り取って報道した恣意的なものが感じられる。これに振り回されては本質を見失う。世界景気は着実に拡大傾向をたどっており、輸出関連株は実需面で追い風にあることを忘れてはならない。

 目先的にはあす30日にトランプ大統領の一般教書演説を控えており、ここで政策に絡み株式市場にはポジティブなコメントが得られる可能性がある。日経平均は基本的にボックス圏が続きそうだが、それでも強含みで推移すると予想している。2月から3月にかけて上値は2万4500円近辺にチャレンジする場面がみられるのではないか。為替次第で下値リスクも無視できないが、2万3000円ラインは維持できるとみている。

 業種別には三菱商事 <8058> や三井物産 <8031> など総合商社株に注目している。世界経済の強さは投資家心理もインフレモードに変えており、原油市況に限らず非鉄など商品市況全般が上値指向にある点を認識したい。資源価格の上昇は、ここ調整を入れていた総合商社株を改めて買い直す動きに反映されそうだ。

(聞き手・中村潤一)

<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。

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