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【材料】個人投資家・株式注意女子:日銀の出口戦略に神経質な展開【FISCOソーシャルレポーター】

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

以下は、フィスコソーシャルレポーターの個人投資家株式注意女子氏(ブログ「株式注意情報.jp」、ツイッター:@kabushikichuiを運営)が執筆したコメントです。フィスコでは、情報を積極的に発信する個人の方と連携し、より多様な情報を投資家の皆様に向けて発信することに努めております。

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※2018年1月15日19時に執筆

今年4月、日銀の黒田東彦総裁が任期満了を迎えることで、ドル円の動きが神経質になっています。1月15日時点では、昨年11月27日に付けた直近の安値110.83円を切ってきたことから、チャートで見るとドル安円高傾向に舵を取っているように見えます。

きっかけは、先週の日銀オペで長期債の買い入れ額が減少したことでした。その後のオペでは、前回同等の金額を買い入れています。日銀ETF買いも前年1月は1度につき703億円だったところ、今年1月11日、12日とそれぞれ735億円買い入れていることからもテーパリングに向かっているとは思えませんし、輸出企業の多い日本企業の業績を維持する為にも、ドル高円安を維持する金融政策を変更するとも現時点では考えにくいと見ています。

世界的な流れを見ると、17日にはカナダが0.25%利上げを行う確率が上昇していることや、25日のECB理事会で政策の先行きに関するフォワードガイダンスの修正があるのではと見られているなど、利上げの方向に進んでいます。

このような流れの中、日本でも来週の日銀金融政策決定会合で金融政策の修正が行われるのではないかと懸念が広がっているのだと思います。

ですが、多くの日本の輸出企業がドル円の想定為替レートを110円程度としていることから、この水準でテーパリングを行えばドル円は10円程度下落してもおかしくないとも言われており、今の為替水準で日銀が企業業績に関わるような決定は出来ないと見るのが正しいのではないでしょうか。

2017年、報道などでも日本株を海外投資家が買っていると言われていましたが、海外投資家の日本株買い越し額は7532億円だったのに対し、日銀のETF買いは5兆9033億円でした。実際に日本株を押し上げたのは間違いなく日銀の金融政策であり、ETF買いに及ばずとも海外投資家が日本株を買い入れた理由は日銀の金融政策であったことを考えれば、すぐに出口戦略に着手することは無いでしょうし、マーケットが注目している次期日銀総裁についても現在の方針を続ける人選をするのがメインシナリオでしょう。

そうなると、ドル円が反転してくるのは23日の日銀金融政策決定会合で「現状維持」と発表する直後になるのではないでしょうか。大きな流れを考えると日本は増税方向、米国は減税や金融政策の正常化に進んでいるので、金融政策の違いを見ればやはり円安に進む、つまりは今のドル円の動きは一時的と考えて良いのではないでしょうか。

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執筆者名:株式注意女子
ブログ名:株式注意情報.jp

《SK》

 提供:フィスコ

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