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【特集】実用放送カウントダウン「4K・8K」、関連株トップランナーを追う <株探トップ特集>

ピクセラ <日足> 「株探」多機能チャートより

―買い替えサイクル到来も追い風、販売本番控えプレーヤー総確認―

 2018年の新春相場は好調なスタートを切ったが、今年注目されそうなテーマのひとつが12月から実用放送が開始される予定の「4K/8K」関連だ。家電量販店では「4K対応」をうたったテレビが売られているが、これらの4K対応テレビは画面の解像度を表しているもので、受信するための外付けチューナーやチューナー内蔵テレビの発売はこれからが本番。インターネット配信の普及でテレビ離れがいわれているが、幅広い層が視聴するテレビ放送波のインパクトは大きく、買い替えを促すきっかけとなりそうだ。

●総務省、20年に全世帯の約50%視聴が目標

 4K/8Kとは超高精細な放送サービスやテレビに用いられる用語で、Kは1000を表し、4Kは水平方向(横方向)に約4000画素、8Kは水平方向に約8000画素あることに由来している。4Kは水平方向の画素数がフルハイビジョン(2K)の2倍で、画面上の画素数はフルハイビジョンの4倍にあたる約829万画素。8Kは水平方向の画素数がフルハイビジョンの4倍で、画面上の画素数はフルハイビジョンの16倍の約3318万画素となり、高精細で立体感・臨場感ある映像を実現することができる。

 総務省は14年9月に4K/8K実用放送に向けたロードマップを公表し、これに沿うかたちでNHKは16年8月からBSで4K/8Kの試験放送をスタート。17年1月には、18年12月以降にBSや110度CSで実用放送を開始する予定のNHKや民放キー局系5社を含む11社19番組の認定を行っている。同省は東京オリンピック・パラリンピックが開催される20年に全世帯の約50%が4K/8K番組を視聴できることを目標に掲げており、普及に向けて後押しする構えだ。

●AV機器メーカーや家電量販店に追い風

 また、注目したいのが、09年5月~11年3月にかけて実施された家電エコポイント期の購入者が買い替えの時期に入っていることだ。薄型テレビの出荷台数は10年に2519万台のピークをつけたあと縮小し、17年は11月までの累計で375万台にとどまっている。テレビの買い替えサイクルは一般的に7~8年とされることや、2月に韓国で開催される平昌(ピョンチャン)冬季オリンピック、6月のサッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会といったビッグイベントもあり、買い替え特需が発生する可能性がある。パナソニック <6752> やシャープ <6753> 、ソニー <6758> などのAV機器メーカーに加え、ビックカメラ <3048> やケーズホールディングス <8282> 、ヤマダ電機 <9831> といった家電量販店 のビジネス機会拡大が期待される。

●ピクセラは今夏にも一般向け受信機を発売へ

 BSや110度CSを使った4K/8K実用放送に向け、16年8月からNHKが、同年12月から放送サービス高度化推進協会(A-PAB)が試験放送を始めているが、対応したチューナーが発売されていないため、現在はNHKの支局など限られた場所でしか視聴できない。こうしたなか、ピクセラ <6731> [東証2]は昨年に放送関連事業者の技術評価用として「4K試験放送受信機」を発売し、今夏には一般消費者向けに廉価版(2万円以下)の発売を計画している。同社では15~18年にかけて「4K放送を受信できないテレビ」の市場規模は累計900万台、20年までに1400万台に上ると試算しており、4K放送開始後は受信機と4Kモニターをセットにした「4Kテレビ」を販売する予定だという。

●ザインは上期をメドにASSP製品をリリース

 4K/8K対応機器の技術向上に欠かせないのがデータ処理を行う半導体で、ファブレス(工場を持たない)半導体メーカーのザインエレクトロニクス <6769> [JQ]に注目したい。同社は4Kテレビ機器内部インターフェースの事実上の標準である「V-by-One HS」規格に続く次世代高速インターフェース規格として「V-by-One US」技術を開発済みで、これにより少ないケーブル本数で8K映像システムを実現することが可能になる。同社では18年上半期をメドに「V-by-One US」技術を搭載したASSP(半導体チップの一種)製品をリリースするとしており、今後関心が高まりそうだ。

●PALTEKは対応機器開発を支援

 対応機器の開発支援では、PALTEK <7587> [東証2]が17年3月、8K映像信号を1本のケーブルに伝送できる8K映像・音声信号インターフェース「U-SDI」に対応した4K/8K映像機器開発プラットフォームを発表している。11月には子会社が4K/8K映像対応小型マルチチャネルテスト信号発生器を開発したことを明らかにしているほか、4K対応360度VR(仮想現実)動画配信ソリューションの提供を開始している。

●テクノマセ、アンリツ、池上通にも注目

 このほかでは、4Kで描画したテロップ表示技術を持つコア <2359> 、4K画像を高画質・低遅延で伝送する装置を手掛けるテクノマセマティカル <3787> [東証2]、4K/8K中継用光伝送装置を取り扱う平河ヒューテック <5821> 、4Kフルスペック光HDMIケーブルを販売するジャパンマテリアル <6055> 、4K/8K映像を実現する高品質ネットワーク構築をサポートする測定ソリューションを提供するアンリツ <6754> 、スマホ用の有機ELパネルの画質を4Kに高める技術を有するブイ・テクノロジー <7717> に商機。

 また、4K/8K時代の到来を見据えケーブルテレビ事業者向け映像配信プラットフォームを手掛けるジャパンケーブルキャスト(東京都千代田区)を17年9月に子会社化したブロードバンドタワー <3776> [JQ]や、海外の放送市場を中心とした4K番組ソリューションを強化する戦略の一環として17年10月に欧州放送機器メーカーのスネル・アドバンスト・メディア社と販売提携した池上通信機 <6771> にも注目したい。

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