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【特集】鈴木英之氏、2018年【株式相場を大胆予測!】(2) <新春相場特集>

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

―世界的なリスクオン相場はどこまで続くのか―

 いよいよ2018年相場の幕が上がる。17年相場は日経平均株価が1万9000円台半ばのスタートで年末まで約3500円幅の上昇をみせた。特に10月以降は一気に上げ足を強め投資家にとって満足の行く展開だったのではないか。年が明けても強気優勢の地合いに変化はなさそうだが、前方は雲一つなき青空が広がっているというわけでもない。米国を中心軸とする世界的なリスクオン相場はどこまで続くのか。また、日本株の上値余地、そして注目すべきセクターは。投資家の期待と不安がない交ぜとなった新春相場、そのスタートを目前にして、第一線で活躍する市場関係者3人に大局的な見地に立った読み筋を披露してもらった。

●「年前半高・後半安を想定、金融株の動向など注視」

鈴木英之氏(SBI証券 投資調査部長)

 18年の株式市場は、年前半に上昇するが、年後半に調整に入る展開を予想する。日経平均は2万1000~2万6000円前後のレンジを見込む。

 17年は、日経平均が一時2万3000円を上回り年初からの上昇率は20%前後に達した。これは業績拡大が寄与する点が大きかった。年前半は、欧米の政治面の混乱懸念や北朝鮮リスクが意識されたが、後半は業績の良好さなどが再評価され、株価は一気に見直された。株価は大きく値を上げたが、PER面などからみて割高感があるわけではない。

 18年の日経平均採用銘柄ベースの予想1株利益(EPS)は10%増の1660円前後を想定。新年の日経平均は、これをPERで下値13倍、上値16倍前後で買うことを見込んでいる。

 新年は年前半に株高が期待できるだろう。ポイントは、一段の企業業績の拡大が見込めること。また、米国や欧州では、利上げや量的金融緩和の縮小の動きが出るなか、日銀は金融緩和政策を継続する見通しにある点などが評価されるだろう。

 一方、年後半には警戒局面に入るかもしれない。19年10月に計画されている消費税引き上げの影響を市場は織り込みにいく可能性がある。また、米経済にピークアウト感が出ることが警戒されるほか、米国の利上げが新興国からの資金流出を促す懸念も浮上してくる。

 こうしたなか、新年は金融株 の動向に注目している。米国の税制改革や利上げは米10年債利回りを2%台後半へと上昇を促すことも予想されるが、これは大手銀行など銀行株にはプラス要因に働くだろう。三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> や三井住友フィナンシャルグループ <8316> といったメガバンクや、米長期金利上昇が運用環境の改善に結びつく第一生命ホールディングス <8750> やT&Dホールディングス <8795> などといった生保株の動向をマークしたい。

 また、17年は化学業界を取り巻く事業環境の改善で三菱ケミカルホールディングス <4188> など大手化学株が上昇した。新年は電気自動車(EV)などの材料を持つ中小の化学株が一段と買われるかに注目している。また、東京エレクトロン <8035> のような半導体関連株が再度、上昇基調を取り戻すかも関心を集めよう。

(聞き手・岡里英幸)

<プロフィール>(すずき・ひでゆき)
早稲田大学卒。リテール営業、調査部、株式部等を経て、SBI証券投資調査部長に。モーニングスター株式会社(投資調査部ゼネラル・マネジャー)へ転籍を経て2009年5月より現職。ラジオ日経、ストックボイス等で相場解説を行っている。


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