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【通貨】為替週間見通し:米金融正常化への方針堅持でドル売り抑制も

ドル円 <日足> 「株探」多機能チャートより

■ドル・円は一時113円26銭、年内米追加利上げへの期待高まる

先週のドル・円は堅調推移。111円48銭から113円26銭まで上昇した。北朝鮮外相による「米国のトランプ大統領の発言は明確な宣戦布告だ」との発言を受けて、米朝関係悪化への警戒感が広がり、リスク回避の円買いが先行した。

しかし、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長が、「インフレが2%に達するまで政策を据え置くことは賢明ではない」と述べたことから、年内追加利上げ観測が急速に広がり、リスク選好的なドル買い・円売りが活発となった。トランプ米政権の税制改革案への期待で米長期金利はやや上昇し、米国株は強い動きを見せたこともドル買いを促した。

なお、日本では衆議院が9月28日に解散され、10月10日公示、22日投開票で衆議院選挙(総選挙)が決定した。「大義なき解散・総選挙」と批判されたが、自民・公明の与党勝利や日本銀行による現行の金融緩和策維持が期待されたことから、リスク選好的な円売りが観測された。ドル・円の取引レンジ:111円48銭-113円26銭。

■米金融正常化への方針堅持でドル売り抑制も

今週のドル・円はやや底堅い動きとなる見込み。米国の重要経済指標がいくつか発表されるが、一部指標を除いて前回実績を下回る見込みであり、リスク選好的なドル買いは一服する可能性がある。ただ、米連邦準備制度理事会(FRB)は金利正常化方針を堅持しており、日米金利差拡大の思惑は後退していない。また、トランプ政権の経済政策は実現されるとの期待は持続しており、これらはドル相場に対する支援材料になるとみられる。

今週発表される米国の経済指標(9月ISM製造業景況指数、9月ISM非製造業景況指数、9月雇用統計などの重要指標)は、一部を除き前回実績をやや下回る見込み。9月雇用統計の非農業部門雇用者数は前月比+7.5万人にとどまると予想されているが、イエレン米FRB議長を含めた金融当局者はバランスシート縮小などの金融正常化を着実に進めていく姿勢を崩していない。年内追加利上げ観測も後退していないことから、短期筋などのドル買い・円売りは継続する見込み。

一方、10月22日投開票の日本の衆院選に対する市場の関心が高まっている。躍進が見込まれる新党・希望の党の小池百合子代表が東京都知事を辞任し、衆院選に出馬するとの思惑が広がっている。国内政治の先行き不透明感は強まる様相を呈していることから、リスク回避的な円買い材料として意識されよう。北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐる米朝対立激化に対する警戒感は低下していないことから、リスク回避の円買いが大幅に縮小する可能性は低いとみられる。

【米・8月貿易収支】(10月5日発表予定)
10月5日発表の米8月貿易収支は434億ドルの赤字が予想されている。輸出入額は7月実績と大差ないと予想されているが、貿易赤字額が7月実績の437億ドルを下回った場合、7-9月期国内総生産(GDP)を押し上げる方向に働くと予想されており、ドル買い材料となる。

【米・9月雇用統計】(10月6日発表予定)
10月6日発表の米9月雇用統計は、失業率4.4%、非農業部門雇用者数は前月比+7.5万人、平均時給は前年比+2.6%と予想される。非農業部門雇用者数は小幅な伸びにとどまる見込みだが、賃金の伸びが予想を上回った場合はドル買い材料になるとみられる。

予想レンジ:111円00銭-115円00銭

《FA》

 提供:フィスコ

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