【特集】大塚竜太氏【閑散相場が終わった後には何が待つ?】(1) <相場観特集>
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
―いつまで続くエネルギー不足の地合い、心構えを聞く―
企業の決算発表たけなわで、好業績銘柄を中心に個別物色が派手に展開されているようだが、全体的には市場参加者不足のなか閑散相場の色が濃い。日経平均株価は2万円大台を回復したものの、以前のように一気に上値をとりにいくような気勢が感じられない。投資家にとっても斜に構えるよりほかない地合いといえるが、果たしてプロのマーケット関係者の目に今の相場はどう映っているのか。第一線で活躍する市場関係者3人に意見を聞いた。
●「経済実態評価で見直しの機が熟すのを待つ」
大塚竜太氏(東洋証券 ストラテジスト)
大勢トレンドが上向きであることに変わりはないが、市場エネルギー不足のなか今しばらく上値の重い展開が続きそうだ。企業の四半期決算発表は今週いっぱいでほぼ終了する格好となり、手掛かり材料に難儀する状況は避けられない。もうしばらくは2万300~400円程度の水準がボックスゾーンの上限として意識されるのではないか。
ただし、全般夏休みモードで売り仕掛けも想定しにくく、ここから下値を探りにいくような展開は考えにくい。経済マクロ面はもちろん、企業のファンダメンタルズに光を当てても今ここで売り急ぐ蓋然性は極めて低いといえる。米雇用統計の結果は雇用者数の伸びだけでなく、その他の内容をみても非常に良好でサプライズに近かったと思う。世界的に金融緩和の出口を探す段階に入っていることは承知のうえで、業績相場への移行が進んでいることが最高値街道を走るNYダウの動きに象徴されている。
特に前週末はゴールドマン・サックスが2.6%高に買われるなど大手金融株が強い動きをみせた。直近のゴールドマンの戻り足は、米長期金利の動向に左右されているというよりは、米景気に対する自信の表れとみておいてよいのではないか。
東京市場でも実態評価で見直し機運が台頭するのを焦らずに待つ場面だ。想定されていたとはいえ4-6月期の企業決算は概ね好調であり、これは決算発表が終わった後もジワジワと株価に上方圧力を与えるのではないかと考えている。したがって、好決算でもいったん材料出尽くしで売られたような銘柄が拾い場となっているケースも多そうだ。
物色対象としては、強靭な米景気が為替市場でドル高・円安を後押しするのであればトヨタ自動車 <7203> をはじめとする自動車株は改めて注目となる。このほかジェイ エフ イー ホールディングス <5411> など鉄鋼株や三菱商事 <8058> など総合商社株も一段と上値を追う可能性がある。さらに、ここ米ハイテク株安を背景に売られた東京エレクトロン <8035> を筆頭とする半導体関連株にも戻り相場が期待できよう。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(おおつか・りゅうた)
1986年岡三証券に入社(株式部)。88~98年日本投信で株式ファンドマネージャーを務める。2000年から東洋証券に入社し現在に至る。
株探ニュース