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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 膠着相場に転機近づくか?

株式評論家 植木靖男

「膠着相場に転機近づくか?」

●抜けぬ高値、対立する強弱感

 6月20日の日経平均株価高値2万0230円が次第に重荷になり始めている。

 高値が数日経っても抜けないと、徐々に市場心理はこれを意識するようになり、結局、ひとつの大きなフシになってしまう。

 6月20日高値からすでに立会日数で18日が過ぎ、たかが50円、100円で手が届くところまできているのに抜けないとなると、これはもはや伝説的なフシ目となったかにみえる。

 こうした中で、市場は先行きに対し強弱感が真っ二つに分かれているようだ。

 強気派は、連動性の高いNYダウ平均が高値波乱から抜け出し新高値に躍り出たと指摘。またTOPIXが高値を更新したことで、ほどなく日経平均も高値を更新し、2万1000円に迫ることになると読む。

 一方、弱気派は、これだけ日柄をかけてもフシを抜けないのは何か潜在的な悪材料ありと懸念する。

 どちらも理があるようにみえるのは、いつものことである。かくして株価は膠着状態となり、SQの前日には前日比1円高と動かないのと同じに。結果として、高値以降、売買株数が20億株を超えたのはSQ・7月14日の僅か1日のみである。

●期待したい海外勢の買い

 では、今後はどう展開するとみればよいのか。

 材料的には、米国、欧州とも景気は緩やかに回復し、ともに金融の正常化に舵を切り始める。

 とはいえ、これまで通り適温相場が続くとみてよく、市場が騒ぐほどの変化はみられない。

 こうした中で、わが国もようやく景気の先行きに明るさがみえ始めている。最大の材料である円安も、欧米の金利高を映して、より鮮明になるとみられる。

 要するに、わが国の市場環境がもっとも優位性があるとみることができよう。

 罫線的にはどうか。きわめて珍しいことだが、高値をつけたあと、これまでカラ売りを誘うような局面がほとんどみられないのだ。このことは4月安値以降の上昇相場が依然、継続していることを意味する。

 では、なぜ6月20日高値を抜けることができないのか。

 売買高の縮小は、単純に考えれば市場の主役である海外勢が売買しないからではないか。

 当然であるが、足元の米国株価が高値波乱をみせる中では日本株に興味を示さない。

 しかし、NYダウが高値更新したからには、今後、海外勢の買いが期待できそうだ。

 ともあれ、膠着状態はいつまでも続くことはない。連休明けあたりから動意づくのではないか。

 気がかりといえば、膠着状態が変化するとき、思わぬ方角から不安材料が顕在化することがしばしばである。注意したい。物色は引き続き割安株か、商社化学非鉄鉄鋼などに注目したい。

2017年7月14日 記

株探ニュース

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