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【経済】【休日に読む】一尾仁司の虎視眈々(3):◆小刻みな需給相場続く◆

NYダウ <日足> 「株探」多機能チャートより

〇不透明感漂い、小刻みな変動も、高値志向〇

昨日の海外株市場では、シンガポール1.12%安、英株0.91%高が目立った。シンガポールは過去数日、21カ月ぶり高値圏で推移していた反動、英株は投機筋のポンド売りが急速に縮小(IMM通貨先物建玉は4/25の9万1182枚の売り越し→5/9現在4万6798枚の売り越し)、それに絡んだ買戻しの動きで9営業日続伸、過去最高値を更新しているものと思われる。英4月CPI(消費者物価指数)は前年比+2.7%、13年9月以来の大幅上昇で今までのポンド安の影響が出ている。実質所得のマイナスが家計に厳しさをもたらすとして金融政策委は政策金利0.25%を据え置いたが、利上げ警戒があるものと思われる。

漠然としたイメージだが、世界の株式市場は為替、金利動向と今まで以上に連動しているように見える。一方向に流れるのではなく、見落とされている国に資金が流れる(買われたところからの逃げ足が速い)ことで、目まぐるしい展開となっている印象だ。ただ、大きな基調変化には至っていないとも見られる。

強いて背景を考えれば、1)株式市場の債券化・・・「トランプ相場」は債券市場から株式市場への資金シフトが大きな柱だが、株式市場に債券市場から資金がシフトすることで、株式市場の売買が小刻みな売買を行う債券的になっている可能性がある、2)トランプ政権の不透明感・・・ロシア・ゲートから機密情報漏洩など、トランプ政権スキャンダルが後を絶たず、政策信頼性を落とすことで先行き不透明感が強まっている。米経済にも不透明感が漂い、利上げシナリオを巡って短期的な売買に偏りがち、3)世界的に財政抑制的で成長策は民間企業重視になっており、企業価値の再評価につながっているが、産業革命的なレベルに至っていない。巨大企業でも経営失敗のケースが目立ち、企業評価の小刻みな修正が繰り返されている、などが考えられる。

三番目のポイントは説明し難いが、個別株式需給の変動で解釈される。17日付日経新聞は「シンガポール政府系投資会社GICがスイス金融大手UBS株式の半分弱を売却」と伝えた。2008年から取得していたものだが、株価は回復せず「損切り」だと言う。日本でも東芝株(短期的には空売りが1.4億株から1.1億株に残高が減少し、買戻し相場で上昇していたと見られる)などで、大きな見直しが起こっていると思われる。米株では百貨店株など小売株の見直し、おそらく韓国・財閥株などでも同様のことが起ころう。

機関投資家の運用内容開示、保有株式の説明責任(株主総会での賛否開示の動きが広がっている)の流れが強まっていることも後押し要因と考えられ、来月の株主総会ラッシュに向け、選別の動きを念頭に置きたい。


以上


出所:一尾仁司のデイリーストラテジーマガジン「虎視眈々」(17/5/17号)

《CS》

 提供:フィスコ

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