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【特集】「映画『この世界の片隅に』の資金調達が成功した本当の理由(2)」サイバーエージェントCF・中山社長に聞く!<直撃Q&A>(その1)

※「映画『この世界の片隅に』の資金調達が成功した本当の理由(1)」から続く

Q3 これだけの方々がお金を出してくれたことをどう分析しますか?

中山 1万円というのは決して、ハードルが低い金額ではありません。お金を出すことで支援者は、映画のエンドロールに名前を載せる権利を得ることができました。とは言え、これは物理的な意味を持つことに過ぎないでしょう。本当の意味とは、自分の認めたものの誕生に関われたという満足感だと思います。自分が見たい、価値があると思ったものの誕生に関われ、そこに自分が寄与したということ。それは何モノにも代えがたいことでしょう。いままで出資というと、儲かるかどうかに重点が置かれていました。しかし、この映画に支援した人達は、これまでの資本主義とは違った価値観でお金を出したとみています。支援者のなかには、1万円以上の価値はあったと感じている方も少なくないと思います。

 いまの世の中、本当に作って欲しいなら可処分所得の大小に関係なく、1万円程度なら出す時代になっていると考えます。お金の使い道が十人十色に変わっている。この点が、マスメディアが流行を作り、そこにお金が流れていった90年代ごろとの違いでしょう。自分の価値観にマッチしたら、すごくお金を使う。ここに、当社が手掛けるクラウドファンディングMakuakeの事業にもつながるものがあります。

Q4 いままで満たされなかったニーズがクラウドファンディングにより発掘することができるようになった、ということでしょうか?

中山 私は以前、ベンチャーキャピタルの仕事をしていたのですが、既存の金融システムでは、今回の「この世界の片隅に」のような映画の企画や、特殊な案件のプロダクト、新しい面白いお店などといったエンドコンシューマー(最終消費者)の近くにあるニーズを吸い上げるための目利きができていない、と感じていました。どうしても、儲けるスキームに乗らせなければいけない、上場するであろう形にしなければならない。その結果、ありきたりなモノを大量生産して競合より安いとか、そんなモノばかりが増えてしまったように思えます。

 消費が低迷しているのは、本当に欲しいモノが生まれていないためではないでしょうか。安いモノしか満たせない世の中になった。その結果、デフレになるのは当たり前のように思えます。しかし、そこへ僕らのクラウドファンディングのような、本当に欲しいものならお金を出すという、仕組みが入っていく。このことで、消費が促進しやすいモノが生まれていく、値段を下げなくても消費者が受け入れてくれる。クラウドファンディングは、デフレから脱却するための大きな起爆剤にもなり得るものだと思います。

最終更新日:2017年04月11日 19時45分

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