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【経済】NYの視点:今週の注目:英国基本条約50条発動、トランプ国境の壁


短期投機、投資家の円のネット売り持ちポジションは前週から減少した。欧州中央銀行(ECB)の次の行動が利上げとの見方から、ユーロの売り持ち高は前週から大幅に減少。2014年6月来で最低となった。

今週は、引き続き世界的の政治動向、金融政策を睨んだ展開となる。また、地政学的リスクも依然高く、警戒される。英国、米国政府は中東・アフリカの指定都市からのフライトで電子機器の機内持ち込みを禁止する規制を維持。今週は、英国ロンドンの中心地でテロ事件が発生。ムニューシン米財務長官も「潜在的なテロの可能性は米国経済のリスクになる」と指摘している。

英国政府がリスボン基本条約50条を行使し正式に離脱の意向を、欧州連合(EU)に伝える。これにより、6月には2年またはそれ以上長い期間にわたると見られる離脱交渉が開始する。また、米国ではトランプ大統領は公約していた2000マイルの南部の国境の壁建設に関する計画を提示する予定。国境の壁建設はトランプ政権の公約事項のひとつ。トランプ大統領の公約で最優先課題となっていた医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃はいったん失敗におわった。トランプ大統領は当面はヘルスケア法案の採決をする予定はないとした。オバマケアを維持することを強いられる。反対姿勢を固持していた共和党保守強硬派の下院議員連盟「フリーダム・コーカス」は共和党ヘルスケア法案でのメディケイド(低所得者向け医療費補助制度)の大幅削減などを理由に最後まで反対姿勢を崩さなかった。

医療保険制度改革(オバマケア)の撤廃はトランプ大統領が選挙戦でも公約に掲げており、今回の失敗はトランプ大統領が自身の党をまとめることもできないとの投資家の不安につながる可能性も指摘されている。一方で、これにより、協議が8月以降に先送りされる可能性が懸念されていた税制改革の協議を前倒しで開始することができる。7月、またはムニューシン米財務長官が指摘していた通り、8月に議会が夏休み入りするまえの成立も可能になることは市場にとりポジテイブだとの見方もある。

米国ではそのほか、国内総生産(GDP)に注目が集まる。3月の消費センチメントは2001年以来の高水準に改善した2月から鈍化する見込み。


■来週の主な注目イベント

●英国

29日:メイ首相、リスボン基本条約50条を行使、欧州連合(EU)と離脱交渉開始へ


●米国

27日:エバンス・シカゴ連銀総裁が「金融政策、新しい経済環境」講演(スペイン、マドリッド)、カプラン米ダラス連銀総裁は経済状況、金融政策に関して講演

28日:3月消費者信頼感指数、2001年7月来の高水準から鈍化見通し(予想113.6、2月114.8)、ジョージ米カンザスシティー地区連銀総裁が講演、カプラン米ダラス連銀総裁が司会

29日:トランプ大統領、公約していた2000マイルの南国境壁の提案を提示、エバンス・シカゴ連銀総裁講演、ローゼングレン・ボストン連銀総裁が経済見通しに関して講演、ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁が「持続可能な回復から持続可能な成長へ、4年間の違い」

30日:カプラン米ダラス連銀総裁が商務省のディスカッションに参加、ウィリアムズ米サンフランシスコ連銀総裁がイベント参加、メスター・クリーブランド連銀総裁が基調講演

10?12月期国内総生産(GDP)確定値:前期比年率+2.0%(改定値+1.9%)

31日:2月・個人所得/支出(前月比+0.4%/+0.2%、1月+0.4%/+0.2%)

●欧州

25日:欧州連合(EU)ブレグジットを協議

●地政学的リスク
ガザ紛争
イラク、イスラム過激派組織「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」
シリア
イエメン
トルコ

《SK》

 提供:フィスコ

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