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2017年02月18日20時00分

【特集】高齢化するアジア“300兆円市場”獲得へ、「介護輸出」の今 <株探トップ特集>

ロングライフ <日足> 「株探」多機能チャートより

―協議会発足でオールジャパン体制、関連株に追い風―

 日本型介護の輸出を促進──。この司令塔となるのが政府や企業、介護の事業者・業界団体、日本医師会などが参加する「国際・アジア健康構想協議会」だ。同協議会は9日に初会合を開き、急速な高齢化に見舞われるアジア地域を対象に、自立支援を重視したサービスの普及に取り組む方針などを確認した。既に一部の企業は現地拠点を通じて事業拡大に乗り出しており、こうした動きは今後さらに加速しそうだ。

介護事業者の収益力向上を後押し

 同協議会はアジアの介護需要を取り込むことを目的としているが、その発端は自民党が昨年5月に打ち出した「アジア健康構想」だ。この中身は介護事業者の収益力向上のため、アジア諸国の高齢化社会を支える新しいインフラ産業を興すというもの。その支援策のひとつとして、事業者が円滑に海外進出できるよう、政府系ファンドなどから資金を調達しやすくすることなどが示された。同年7月には政府の健康・医療戦略推進本部が「アジア健康構想に向けた基本方針」を決め、協議会を発足させるとともに、現地政府に対し日本の経験に基づく制度設計の提案などを行うことなどが掲げられた。

●中国の市場規模は35年に292兆円

 内閣府の予測によると、中国の高齢化率(総人口に占める65歳以上の割合)は2015年の9.6%から35年には20.3%に上昇。韓国は13.1%から26.1%に、シンガポールは11.7%から25.5%に、タイは10.5%から21.7%に高まる見通しで、アジア諸国は本格的な高齢化社会を迎える。ただ、現地の社会制度や関連産業の育成は遅れているのが実情で、日本の介護システムへの関心は高いとされる。市場は急拡大する見込みで、内閣府では35年の高齢者向けの市場規模を日本の105兆円に対し、中国は292兆円、韓国は36兆円、シンガポールは10兆円、タイは17兆円と試算しており、関連企業にとってビジネス機会が広がることになりそうだ。

●ロングライフHDはアジアで有料老人ホームなどを運営

 アジアの介護需要をにらみ、早くから進出しているのがロングライフホールディング <4355> [JQ]だ。10年に中国の現地企業と、12年にインドネシアの現地企業とそれぞれ合弁会社を設立し、14年には韓国の介護サービス企業に出資した。これら地域で有料老人ホームを展開しているほか、中国では福祉用具の販売やレンタル事業を運営。「今後もアジアを中心に積極的に事業展開を行い、これまでに培ったケアサービスを普及させ、企業価値の向上に努める」(広報室)としている。

●ニチイ学館は中国企業と連携しビジネス展開

 介護業界大手のニチイ学館 <9792> は14年に「中民養老企画院」と業務提携し、中国各地域で標準化・専門化された介護運営による「モデル施設」を立ち上げるなど、良質で効率的な介護の普及と健全な介護市場の形成に努めている。同社は子会社のニチイケアネットが12年に上海で現地法人を設立し、福祉用具の卸販売事業を通じて介護ニーズを調査。13年からはニチイ学館が直接、北京や広州、香港に拠点を設けてマーケティング活動などを行ってきた経緯がある。

●パラベットは中期計画で海外加速を掲げる

 パラマウントベッドホールディングス <7817> は、海外での現地化と世界最適地生産体制構築を推進している企業のひとつ。1995年にインドネシアで製造販売会社を設立したのを皮切りに、02年に中国・上海、04年に中国・無錫、10年にタイ、12年にシンガポール、13年にはベトナムに現地法人を設立し、地域に密着した営業活動でシェア拡大を目指している。昨年5月に策定した中期経営計画「2020プラン」では海外事業の加速を掲げ、20年度には海外売上高を200億円まで高める計画だ。

 また、フランスベッドホールディングス <7840> は12年に中国企業と合弁会社を設立し、介護ベッドをはじめとする福祉用具をレンタル会社に供給(販売)するほか、機器のメンテナンスを請け負うビジネスモデルを展開している。

●SMSや安川電、ユニ・チャームにも注目

 このほかでは、アジア各国で医療従事者・事業者向け医薬情報サービスなどを提供しているエス・エム・エス <2175> 、15年に中国・上海に子会社を設立し訪問入浴事業などを展開しているケアサービス <2425> [JQG]、中国を中心に介護ベッドの販売や付随サービスを手掛けるプラッツ <7813> [東証M]、15年に中国の美的集団と提携しリハビリ・介護用装置の新会社を設立した安川電機 <6506> 、アジアを中心に世界で紙おむつや生理用品を販売するユニ・チャーム <8113> 、12年に中国に進出し高級有料老人ホームを運営しているセコム <9735> などにも注目したい。

株探ニュース

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