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【経済】中国企業がFCA買収検討か、米進出の足掛かりに


欧米自動車大手のフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)を巡り、中国政府の協力の下、中国のある自動車企業が買収に乗り出す可能性が浮上している。米メリルリンチの自動車アナリストであるジョン・マーフィー氏によると、FCAは債務問題を長期的に抱えており、現状打開に向けてその中国企業との資本提携を選択肢の一つとみているとされる。海外メディアの報道を引用して、盖世汽車が13日付で伝えた。
マーフィー氏によると、その中国企業はFCAの買収を通じて、米国市場参入を実現したい考え。向こう3~5年内にFCAに巨資を投じる可能性があるという。
FCAのセルジオ・マルキオンネ最高経営責任者(CEO)はかねて、「提携パートナーを常に探している」と明かしていた。その上で、米ゼネラルモーターズ(GM)に提携を打診したものの拒絶された経緯をこれまでに公言している。
FCAに関しては2016年4月、「広州汽車集団が支援を名乗り出た」と報じられた。広州汽車の狙いは米市場進出にあったとされる。FCAはこの報道についてコメントを一貫して控えてきたが、マルキオンネCEOは先週9日、提携パートナーに関して、「実力が相対的に低い中堅企業との提携を希望している」と発言。広州汽車の可能性を暗に否定した。ただ一方で、「(パートナー探しは)トランプ政権誕生後の米国の政策方針をみて決める必要がある」とも付け加えた。
FCAは向こう2年内の債務完済を目指している。これを達成させるためには、営業利益を90億ユーロ(約1兆937億円)に引き上げる必要があるとされ、米国事業のテコ入れを迫られている。乗用車生産を減らし、利幅の大きいSUVやピックアップトラックへと生産の主軸を移行する考えとされる。
M&Aを通じた米市場進出は、中国自動車業界で先例がある。吉利汽車は2010年にフォード傘下のボルボ買収、北京の自動車部品メーカー、太平洋世紀汽車も同年、GMのステアリング子会社、ネクステア・オートモーティブを傘下に収め、米市場への間接参入を果たした。買収額などの詳細は公開していない。ネクステア・オートモーティブはその後、中文社名の耐世特汽車系統集団(ネクスティア・オートモーティブ・グループ:1316/HK)を導入した上で、13年10月7日に香港上場した。

【亜州IR】

《ZN》

 提供:フィスコ

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