【市況】【杉村富生の短期相場観測】 ─ 全般相場は完全に“夏枯れ”商状!
株式評論家 杉村富生
「全般相場は完全に“夏枯れ”商状!」
●大きく崩れる(売り込む)状況ではないが…
市場エネルギーは盛り上がりに欠ける。完全に“夏枯れ”商状である。8月相場での日経平均株価の上値は限定される。この局面でのカラ売りは怖い。しかし、大きく売り込まれることはないだろう。
2017年度としてみると、日銀のETF買いが6兆円、自社株買いが6兆円、GPIFの買いが4兆~5兆円見込める。6兆円前後の投資主体が3件も揃う。これは過去にほとんどないケースである。
ではなぜ、上値が限定されるのか。その答えは彼らは上値を追って買わないこと。“相場巧者”ばかりでは上昇相場につながらない。そう、彼らは基本的に長期・逆張りである。押し目買いに徹する。
活況相場を演出するのは常に、命知らずの“突撃部隊”である。この人達はいま、ウインテスト <6721> [東証2]、大黒屋HD <6993> [東証2]などを攻めている。中・低位株には怪しげな銘柄が多いが、株価90円前後の大黒屋HDは好実体(連結余剰金23億円強、2017年3月期のEPSは12円)を評価できる。
●ABCDショックには細心の注意を!
モバイルファクトリー <3912> [東証M]が手掛けている「アクティビティジャパン×ステーションメモリーズ!」(アプリで集客、地方創生コラボキャンペーン!)は面白い。地方創生は安倍政権の目玉の政策である。SNS監視システムのイー・ガーディアン <6050> [東証M]は狙える。
一方、内外の相場環境では円高の行方に加え、ABCDショックに注意を要する。すなわち、America、Brexit、China、Deutsche Bankである。特に、この局面ではDの欧州系金融機関の株価急落(イタリアのモンテ・パスキは何と、350分の1に)、経営危機が焦点になろう。
ショック安に巻き込まれるな! これは株式投資における基本中の基本である。そのためには変化の予兆を見逃してはいけない。これは弱気、強気のレベルではなく、リスク・マネジメントの“柱”である。まあ、8月相場においては投資姿勢を斜めに構え、あまり気合いを入れない投資戦術が有効ではないか。
2016年8月4日 記
株探ニュース