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【注目】前日に「売られた株!」総ザライ ―本日への影響は?―

アドヴァン <日足> 「株探」多機能チャートより

■アドヴァン <7463>  963円 (-191円、-16.6%)
 東証1部の下落率トップ。5日、アドヴァン <7463> が決算を発表。17年3月期第1四半期(4-6月)の連結経常損益は2.2億円の赤字(前年同期は14.9億円の黒字)に転落したことが売り材料。英国のEU離脱問題による急激な円高進行を受けて、36ヵ月を超える為替予約について洗い替えなどによるデリバティブ評価損15億円を計上したことが響いた。

■ナノキャリア <4571>  1,050円 (-190円、-15.3%)

 ナノキャリア <4571> [東証M]が急落。5日の取引終了後、日本化薬 <4272> が開発を進めている抗がん薬内包高分子ミセルNK105の転移・再発乳がんを対象とした第3相臨床試験において、主要評価項目が達成されなかったと発表したことを受けて、NK105の導出元である同社に失望売りが出たもよう。また、日化薬も大幅続落となった。同試験は、転移・再発乳がんを対象とした、NK105群とパクリタキセル製剤群との週1回投与による有効性・安全性を比較する無作為化・国際共同試験で、主要評価項目は無増悪生存期間の統計学的な非劣性だった。これに対してナノキャリアは「当社の主要パイプラインとは、根幹をなす技術的な相違があること、また、日本化薬とのライセンス契約は当社の独自技術としては初期段階における技術導出であることから、この発表による当社の今期の業績には影響がない」とコメントしている。

■アシックス <7936>  1,611円 (-112円、-6.5%)

 東証1部の下落率10位。アシックス <7936> が年初来安値を更新。三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、円高進行、米国での在庫調整の遅れ、2016秋冬シーズンの受注の伸び悩みを指摘。従来は16年12月期の第2-3四半期と見ていた業績の底打ちが、17年12月期に遅れる可能性が高まったとみて、円高の状況下ではバリュエーションの上昇も期待し難く、株価のアップサイドは限定的と解説。レーティングを「オーバーウエイト」から「ニュートラル」に、目標株価を2900円から1820円に引き下げている。

■マツダ <7261>  1,252円 (-81.5円、-6.1%)

 大和証券の自動車セクターのリポートでは、為替影響の一部は値上げ努力やコスト削減の上乗せで緩和すると想定されるも、あまりにも急激すぎる為替変動で打てる手も限られてしまうと指摘。第1四半期のセクター営業利益は前年同期比34%減とみているものの、前提レートを1ドル=105円としている会社も多いため、通期計画に対する進捗率は25%程度になると予想。円安前提のマツダ <7261> やヤマハ発動機 <7272> は為替前提の変更とともに通期計画の減額修正が行われる可能性を否定できないとして、両社以外は計画の変更があっても微調整の範囲と予想。セクター判断「中立」を継続している。

■ルネサス <6723>  528円 (-34円、-6.1%)

 ルネサスエレクトロニクス <6723> が3日続落で年初来安値を更新。急激な円高が進み、全般相場が大幅安となるなか、同社株にも売りが膨らんだ。ドイツ証券は5日、同社株の目標株価を720円から530円に引き下げた。投資評価の「ホールド」は継続した。同社の構造改革は進んでいるものの、足もとの円高進行と低粗利率品の比率拡大で17年12月期の定常状態の利益水準は従来に比べて切り下がっていることを警戒。新しいマネジメント体制で、どのような成長戦略が描かれるか、に注目している。

■住友不動産 <8830>  2,606円 (-150.5円、-5.5%)

 住友不動産 <8830> が急落。三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、バリュエーション縮小の背景として、外需系を中心とした日本企業の業績悪化によりビルの賃貸事業のリスクが高まること、景気や株式市場低迷によりマンション市況のクラッシュ(販売戸数と価格の大幅調整)のリスクが高まることを指摘。円高で中期業績悪化を警戒する局面と位置づけ、レーティングを「ニュートラル」から「アンダーウエイト」に、目標株価を3400円から2500円に引き下げている。

■三井不動産 <8801>  2,180.5円 (-124円、-5.4%)

 三井不動産 <8801> や三菱地所 <8802> など不動産株が軒並み安。英国の欧州連合(EU)離脱に伴う世界景気の減速懸念が再燃。特に、5日には英資産会社が不動産ファンドの取引を停止することが伝わった。英国のEU離脱による同国の不動産価格の下落懸念が強まっており、海外不動産ファンドの運用成績の悪化は日本の不動産への売りによる投資資金の引き揚げにつながる、との懸念も出ている。

■ブリヂストン <5108>  3,179円 (-151円、-4.5%)

 ブリヂストン <5108> が反落。三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、会社側の為替前提が1ドル=115円のため下方修正は時間の問題で、発表された際には悪材料出尽くしになると想定。数量低調にも関わらず一部地域でタイヤ価格の上昇がみられるなど価格スプレッドに大きな変化はみられないため、過度な懸念は不要と考え、配当利回りが4%台となっている点にも注目したいと解説。レーティング「オーバーウエイト」を継続、目標株価は5000円から4300円に引き下げている。

■アスクル <2678>  3,520円 (-165円、-4.5%)

 アスクル <2678> が急落。同社が5日引け後に発表した17年5月期の連結業績予想は、売上高が前期比10.5%増の3480億円、営業利益は同11.5%増の95億円と、2ケタ増収増益の見通しを示したものの、6日は地合い悪に加え、利益見通しが市場の期待値に届かなかったとの見方があり、売りが優勢となった。野村証券では、短期業績は物流の先行投資費用が重く下方修正するとのリポートをリリース。ただ、中期でB2Bは商品拡大効果により成長加速が見込め、B2Cも増収継続のなか化粧品やPBなど高採算品の拡販で収益性向上を予想、両事業の売上成長で経費効率化は可能と想定。業績予想を下方修正し目標株価を5500円から4500円へ引き下げているものの、両事業の成長持続と増配方針も評価し、レーティングは「バイ」を継続している。

■野村ホールディングス <8604>  354.7円 (-16.6円、-4.5%)

 野村ホールディングス <8604> 、大和証券グループ本社 <8601> などをはじめ証券株が軒並み安。英国EU離脱決定の余波で、イタリアの金融機関の不良債権問題が再浮上、財務脆弱とみられる欧州の銀行株に売りが広がるなど、再びリスクオフの流れが世界株安連鎖をもたらしている。そのなか、東京市場も前週の戻り相場から手のひらを返したようにリスクオフ一色の地合いで、投資家の物色意欲減退による顧客手数料収入の減少や、投信など運用成績の悪化に対する懸念が見切り売りを誘発した。また、上場取引所である日本取引所グループ <8697> も投資家離散の影響を懸念して一時7%近い下落をみせた。

■三菱UFJ <8306>  433.8円 (-16.2円、-3.6%)

 三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> 、三井住友フィナンシャルグループ <8316> 、みずほフィナンシャルグループ <8411> などメガバンクが軟調。英国EU離脱決定の余波で欧州金融ステム不安が再浮上、財務の脆弱な金融機関を抱えるイタリアなどを中心に欧州全般で銀行株に売りが浴びせられた。邦銀の欧州が占める業務利益のウエートはわずかで、直接的な影響は軽微との見方も多いが、EUとの窓口だった金融中心地ロンドン・シティの凋落は、今後のビジネスにネガティブな影響を及ぼす。また、次回の日銀金融政策決定会合で追加緩和の可能性が意識されるなか、日銀が量的緩和以外にマイナス金利政策も進めた場合、銀行セクターにとっては一段の収益逆風環境となることから、改めて警戒感が強まっている。

■JXホールディングス <5020>  385.2円 (-12.8円、-3.2%)

 JXホールディングス <5020> が大幅続落。SMBC日興証券が同社についてリポートをリリース。原油価格前提の引き下げ(17年3月期:50ドル/バレル→45ドル、18年3月期:55ドル→50ドル)、為替前提の円高修正(17年3月期および18年3月期:120円/ドル→100円/ドル)、銅価格前提の引き下げ(17年3月期230セント/ポンド→210セント/ポンド)を主な要因として、同証券による17年3月期-18年3月期の業績予想を下方修正。目標株価は620円から550円へ引き下げ、投資評価は「1」(アウトパフォーム)を継続している。

■スカパーJ <9412>  454円 (-15円、-3.2%)

 スカパーJSATホールディングス <9412> が続落。いちよし経済研究所では、一部の衛星の打ち上げが延期となり、再打ち上げも未定と指摘。「スカパー!」の累計加入件数は減少が続いている事も勘案して、17年3月期営業利益予想を262億円から229億円(会社計画は210億円)に引き下げ。レーティングを「A」から「B」に、フェアバリューを750円から590円に引き下げている。

■みずほFG <8411>  143.1円 (-3.9円、-2.7%)

 国内大手証券の銀行セクターのリポートでは、2016年上半期(1-6月期)のシンジケート・ローン市場は、グローバルで前年同期比1割近いマイナス成長となる中、邦銀が総じてそのプレゼンスを維持したと指摘。邦銀のプレゼンスが小さい欧州市場の縮小幅が3割弱と大きかったことや米市場の縮小幅が2%強と小さかったことなど、地域構成比が邦銀のグローバルシェア向上に寄与したとみて、特にみずほフィナンシャルグループ <8411> の躍進が顕著だったと解説。今後の国際戦略の方向感として、資本効率・資産の質重視の観点から貸出残高成長率が鈍化、資産効率重視の観点からより非金利収益を重視する方向に進むと予想している。

■国際石油開発帝石 <1605>  764.7円 (-20.8円、-2.7%)

 国際石油開発帝石 <1605> や石油資源開発 <1662> など石油関連株が安い。5日の米原油先物相場はWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の期近8月物が3連休前の1日に比べ2.39ドル安の1バレル=46.60ドルに急落した。英国のEU(欧州連合)離脱に伴う世界経済への影響が再度懸念され、原油需要減少を警戒する売りが膨らんでいる。先月に52ドル台まで上昇した原油価格は、46ドル台まで下落してきたことで上昇基調を維持できるかが焦点となっている。

■ファーストリテイリング <9983>  25,900円 (-640円、-2.4%)

 ファーストリテイリング <9983> が連日の急落。6日は一時1200円超の下げをみせ、6月24日の英国離脱ショックによる全体相場崩落時につけた年初来安値2万6120円を大きく下回った。世界株市場は前日から再びリスクオフの流れとなり、6日の日経平均株価は500円近い下げ幅をみせるなど波乱展開にある。先物主導の下げ加速で、同社株を筆頭とする日経平均寄与度の高い値がさ株に裁定解消に伴う需給的な売りが直撃した。英国離脱ショックから回復したと思われた矢先、同社株が売り直され、日経平均が1286円安となった波乱時の安値を大きく下回ったことは、全体相場に改めてネガティブな影響を与えた。

■ポーラHD <4927>  9,850円 (-240円、-2.4%)

 ポーラ・オルビスホールディングス <4927> が反落。クレディ・スイス証券では、同社の最も良い点は、POLAブランドがハイプレステージスキンケアという位置付けで、アジア市場で認知度が上昇している事と指摘。最も悪い点は、海外ブランド立て直しの遅れとして、現時点では抜本的な変化が見込めないと解説。株価上昇により従来の目標株価に到達したため、レーティングを「アウトパフォーム」から「ニュートラル」に引き下げ。目標株価は9500円から1万200円に引き上げている。

■ガンホー <3765>  273円 (-6円、-2.2%)

 ガンホー <3765> が小幅安で軟調推移。日証金が5日からガンホー株を貸借取引での注意喚起銘柄に指定すると発表した。貸借取引での規制強化に伴って、売買の自由度が制限されるとの見方から売りが優勢となった。

■コーセー <4922>  9,000円 (-180円、-2.0%)

 コーセー <4922> が反落。クレディ・スイス証券では、百貨店などの状況を見て、今年はインバウンドテーマが嫌われ始めた模様と指摘。株式市場の同社に対する興味が減退している今こそが、「リスクリワードの観点から投資好機」との見方で、同社の中期的なファンダメンタルズの評価は不変とコメント。レーティング「アウトパフォーム」を継続、目標株価は1万3200円から1万1000円に引き下げている。

■IHI <7013>  283円 (-5円、-1.7%)

 IHI <7013> が続落。5日付で三菱UFJモルガン・スタンレー証券がレーティング「ニュートラル」継続、17年3月期は通期連結営業利益で会社側計画の650億円(前期220億4800万円)に対して従来予想の620億円から500億円へ、18年3月期を755億円から680億円へ引き下げた。1ドル=115円から100円へ為替前提を変更、海洋構造物などの大型案件での追加費用発生リスクが依然として残るため、悪材料出尽くしとは言い難いと指摘している。

■トヨタ自動車 <7203>  5,064円 (-89円、-1.7%)

 トヨタ自動車 <7203> が4日ぶり反落。前日まで3日続伸とバランスを立て直す動きをみせていたが、足もと円高が急速に進行していることを受けて売り直される展開となり、心理的なフシ目である5000円大台ラインを割り込んだ。英国EU離脱決定に伴う欧州の金融市場への波紋が安全資産とされる円買いの動きに反映されている。米国の利上げ見通しも遠のいており日米金利差拡大シナリオも後退、足もと1ドル=101円台割れも視界に入っており、輸出比率の高い自動車株には採算悪化懸念が再燃している。特に為替感応度の高い同社株は、売りのターゲットとなりやすい。17年3月期の通期想定為替レートは1ドル=105円で、実勢の為替水準は業績下方修正リスクを意識させている。

※6日の下落率が大きかった銘柄を株価変動要因となった材料とともに抜粋。


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