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【市況】【植木靖男の相場展望】 ─ 5日連騰は何を語る?

株式評論家 植木靖男

「5日連騰は何を語る?」

●敗戦処理の経験則を覆す反発

 英国のEU離脱を巡る国民投票は予想外の結果となった。市場は、こうした予想外の出来事に慌てふためく。

 結果が判明した時間帯に市場が開いているのは、先進国では唯一日本市場だけである。当然のように世界中から売りの集中攻撃を浴びる。それが株価1200円安である。売買代金は前日の2倍になったことが、この辺の事情を物語る。

 罫線上、大きな陰線を引くときは、しばしば建玉を売り切ったことを意味する。

 当然のことながら、相場は結果をみてから行動を起こしても益にはならない。つまり、結果をみてから売っても意味はないのだ。リスクを取って初めて益につながるのだ。

 案の定、週明けの市場は反発して始まった。

 ところが、ここへきてさらに経験則を破るような事態が起こりつつあるのだ。

 相場は戦いのようなもの。売り方、買い方が手を尽くして攻防戦を行う。今回のケースは、いわば関ヶ原の戦いのようなもの。勝負が終わればあとは終戦処理に明け暮れ、大勢は休戦状態に入る。局所的に小競り合いは残っても大勢は決したのである。相場でいえば暫くは揉み合いに終始するはずである。

 ところが、なんと5日間も連騰したのである。通常は2~3日反発しても遅ればせの売り物に押されて小反落することが多い。安値圏での5日連騰は先高感の台頭を示唆することがしばしばである。

●需給地殻変動の予兆か?

 いずれにしても市場心理に与えるインパクトは大きい。当の英国の株価は結果判明前の水準に戻ってしまった。

 ところで余談ながら、大荒れとなった当日、英国株よりドイツ・フランスなどEU側の株価の方が下落率が大きかった。この下落率からみる限り、今回の一件はEU側にとって英国より痛手が大きいことを意味する。今後の英国とEUとの交渉の駆け引きをみるうえで興味深い。

 英国のEU離脱について多くのメディアは世界経済の先行き、そして何より株式市場に対して大きな警告を発している。なかにはEU体制の終わりの始まりだとか自由民主主義の終焉とまで報じているメディアがある。それはそれで何を言っても構わないのだが、現実には世界の株式市場は急反発している。

 日本市場の5日間連騰という異例の状況は何を意味するのか。

 ひょっとして、株式の需給関係に何か大きな変化が起こる前兆なのではないだろうか。それほど、5日間連騰の市場に与えるインパクトは大きいのである。

2016年7月1日 記


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