【市況】新興市場見通し:中小型株の循環物色の流れが続く、LINEは8日までBB期間
日経平均 <日足> 「株探」多機能チャートより
先週の新興市場では、英国の欧州連合(EU)離脱に対する懸念後退などから日経平均が5日続伸となるなか、日経ジャスダック平均、マザーズ指数ともに上昇した。東京市場で円相場が強含みとなり、大型株が上値の重い展開となる場面も多く、個人投資家の物色は特に値動きの軽いマザーズ銘柄に向かった。なお、週間の騰落率は、日経平均が+4.9%であったのに対して、マザーズ指数は+15.4%、日経ジャスダック平均は+4.9%だった。マザーズ指数は6月30日に節目の1000ptを回復した。
個別では、そーせいグループ<4565>が週間で27.1%高となったほか、ミクシィ<2121>が同7.3%高、サイバーダイン<7779>が同10.2%高とマザーズ時価総額上位は堅調だった。そーせいグループは英子会社の新たな提携が材料視された。売買代金上位では、アキュセラ<4589>が同20.5%高、アカツキ<3932>が同26.2%高と大きく上昇した。アキュセラは大株主による株式買い増しが続いた。その他マザーズでは、インスペック<6656>の株価が同2倍以上に上昇したほか、直近IPO銘柄で農業関連として関心を集めている農業総合研究所<3541>などが買われた。反面、AWS HD<3937>は利益確定売りに押された。ジャスダックでは、セプテーニ・HD<4293>、ハーモニック・ドライブ・システムズ<6324>、セリア<2782>の上昇率が2ケタに上った。また、NTT空間情報との連携を発表したネクストウェア<4814>や、上場廃止の猶予期間から解除されたフジタコーポレーション<3370>が急伸したが、従前人気化していたソフトフロント<2321>が上げ一服で売られた。IPOでは、注目されたコメダHD<3543>はやや低調な初値スタートとなったが、その後の株価は公開価格を上回る水準まで上昇した。マザーズ上場のキャリア<6198>やベガコーポレーション<3542>は公開価格を上回る堅調な初値形成となり、セカンダリーでも株価は大きく上昇した。セラク<6199>の初値形成は翌週に持ち越しとなっている。
今週の新興市場では、中小型株の循環物色の流れが続くことが想定される。前週のマザーズ指数は強い上昇を見せたとはいえ、個別株を見ると値動きが荒く、短期資金主導であることが窺える。25日線の位置する1050pt近辺がいったんの戻りメドとして意識される可能性もある。ただ、足元では個人投資家の資金回転が利いているうえ、米雇用統計の発表を控えて主力大型株がこう着感を強めれば、物色は引き続き中小型株に向かいやすいだろう。
今週は7月5日にフロイント産業<6312>、7日にSHIFT<3697>、8日にドーン<2303>、ブロッコリー<2706>、シリコンスタジオ<3907>、レイ<4317>などが決算発表を予定している。ドーンは前期業績の上方修正を発表済みで、今期見通しが注目される。また、SHIFTの業績は上期まで計画上振れで推移していたことから、第3四半期決算にも期待する向きがあるようだ。フロイント産業は直近で一部証券会社の新規高評価が観測されている。
IPO関連では、注目されるLINE<3938>の仮条件が6月28日に決定し、29日から7月8日までブックビルディング(BB)期間となっている。仮条件決定は予定より1日遅れたが、仮条件は2700円~3200円と目論見書の想定発行価格2800円に対し比較的強気の設定となった。なお、JR九州は10月中旬の上場を目指し東証に本申請したと伝わっている。
《FA》
提供:フィスコ