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【特集】吉野晶雄氏【日銀ショック! 大荒れマーケットを読む】(2) <相場観特集>

吉野晶雄氏(アムンディ・ジャパン チーフエコノミスト)

 28日の東京株式市場は、日経平均株価が前日比624円44銭安の1万6666円05銭と急落。28日まで開催された日銀の金融政策決定会合の内容が“現状維持”となったことで、株式市場では失望売りが膨らみ大幅安となった。外国為替市場では1ドル=107円台後半へと円高・ドル安が進行している。今後の相場展開について、第一線の市場関係者に聞いた。

●「下値は限定的、年後半に向け上昇も」

吉野晶雄氏(アムンディ・ジャパン チーフエコノミスト)

 もともと日銀による4月の追加緩和はないと予想していた。日銀は「国内景気は緩やかな回復基調にある」との認識にあり、その路線を踏襲したということだろう。マーケットは追加緩和に対し前のめりになっており、しばらく気迷い気分は残るかもしれない。

 個人的には、日銀によるマイナス金利の拡大や国債買い入れの増額などの政策は、景気へ悪影響をもたらす可能性もあるとみている。ただ、もし追加緩和があるとすれば、展望レポートの中間評価がある7月の日銀会合だとみている。それまでに、物価上昇や消費回復がみられなければ、追加緩和に踏み切る可能性はあるだろう。一方、もし7月までに追加緩和がなければ、当面の実施はないかもしれない。秋口までには、一億総活躍社会の実現に向けた消費活性化策などの効果も出てくるとみており、日銀が追加緩和に踏み切らざるを得なくなる状況は薄らぐだろう。

 企業業績は円高による減益が懸念されているが、コスト削減なども期待でき、内需企業の貢献があれば一定の円高のなかでも増益が期待できるとみている。日銀の政策への期待が強いが、景気動向などをみればそう悲観的になる必要はないと思う。日経平均の足もとの下値は1万6000円前半とみている。外国人売りもピークを過ぎている。日経平均は6月までの年前半では高値は1万7800円程度だが、12月までには1万9500円前後を目指す展開を予想する。

 個別では、内需関連セクターに注目しており、「一億総活躍社会」の実現に絡み、高齢化対策に関連する企業や、電力自由化や太陽光などエネルギー関連の企業、インバウンド関連企業、それに減益でも配当水準を維持するような企業には評価余地があると思う。

(聞き手・岡里英幸)


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