【市況】来週の相場で注目すべき3つのポイント:日銀会合、FOMC、IPOラッシュ
■株式相場見通し
予想レンジ:上限17800-下限16800円
来週は、14、15日に日銀金融政策決定会合、15、16日にはFOMCを控えている。金融安定化に向けた各国の舵取りに市場の関心が集まりやすいだろう。前週の10-12月期GDP改定値の上方修正で追加緩和の可能性は低いと考えられる。ただし、ECBが発表した予想外に強力な景気刺激策は、日銀の姿勢にも影響を与えると考えられ、それほど遠くない時期には、マイナス金利の一段の引き下げと資産買い入れ拡大を組み合わせたサプライズのある緩和策の発表も意識されよう。米国については、利上げの確率はほぼゼロと見込まれているが、前週の雇用統計を受けて、次の行動への見通しが注目されるところである。
また、原油相場については、石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアが20日にも原油の生産調整を検討する会合を開く方向である。産油国会合の開催時期をめぐる不透明感から強弱感が対立し、1バレル40ドル回復目前で足踏みをしている。ただし、週末にかけて会合への期待が高まり、節目の40ドルを捉えてくるようだと、商品市況全体への波及がみられる可能性がある。これが政府系ファンドによる株式売却への警戒感を後退させてくる可能性があり、原油相場の落ち着きが株式市場にプラス影響を与えることにつながろう。
日経平均は価格帯別出来高では16900-17100円レベルで商いが膨らんでいる。これをクリアしてくると、18900円処までは比較的薄いため、節目の18000円は通過点となる可能性がある。一目均衡表をみると、雲下限に上値を抑えられる可能性が高そうだが、遅行スパンは上方転換シグナルを発生させてくる確率が高まっている。雲上限は今週、18014円辺りから週末には17440円辺りまで切り下がるため、一気に突破してくる可能性はある。日銀会合後は、期末要因から配当志向の物色のほか、期末株価に対する思惑が高まりやすいところでもある。トレンド転換への期待感も高まる展開を意識しておきたい。
IPO関連では、3月14日にマザーズへ上場するLITALICO<6187>を皮切りに、1週間で12社が新規上場するIPOラッシュとなる。特に15日は富士ソフトサービスビューロ<6188>など3社が、18日はアグレ都市デザイン<3467>など6社が同時上場するため、初値買い資金分散の影響には注意したい。
■為替市場見通し
来週のドル・円は、15-16日にかけて連邦公開市場委員会(FOMC) が開催され、会合終了後にはイエレンFRB議長の会見も予定されている。先日発表されたベージュブックや雇用統計は概ね良好な内容であったが、インフレ見通しを巡る足元の不透明感は強い。今回のFOMCでは、ECBが追加緩和策に踏み切ったことでFRBの金融政策、特に利上げの方針について何らかの変更が生じているかどうかに注目したい。
経済指標では2月小売売上高(15日)、2月生産者物価指数(PPI)(15日)、3月NAHB住宅市場指数(15日)、2月住宅着工・建設許可件数(16日)、2月消費者物価指数(16日)などの発表が予定されている。1月小売売上高がプラス改善となったことで、景気回復の兆しが示された。2月も予想を上回る好調となれば連銀当局者の中にも年内の追加利上げに向けて肯定的な見方が優勢となるだろう。
■来週の注目スケジュール
3月14日(月):機械受注、日銀金融政策決定会合、ユーロ圏鉱工業生産指数など
3月15日(火):黒田日銀総裁会見、米小売売上高、連邦公開市場委員会(FOMC)など
3月16日(水):訪日外国人客数、米MBA住宅ローン申請指数、全人代閉幕など
3月17日(木):貿易収支、米新規失業保険申請件数、欧首脳会議など
3月18日(金):鉄鋼生産、百貨店売上高、中不動産価格指数など
《TM》
提供:フィスコ