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【市況】国内株式市場見通し:G20控え全般こう着、マイナス金利導入で個人マネーはリスク資産へ


先週の日経平均は上昇。前週末にドイツ銀行が無担保優先債を買い戻す計画を発表。欧州銀行の財政不安が和らぐ中、週明け15日の日経平均は1069円高と今年最大の上げ幅となり、16000円を回復。その後も自社株買いを発表したソフトバンクグループ<9984>がストップ高をつけて日経平均をけん引。日銀のマイナス金利が適用される中、銀行株にはこれまでの収益圧迫への警戒から、売られ過ぎに対するリバウンドの流れなどもみられ、相場全体へのリバウンド機運が高まった。

しかし、為替市場では対ドルやユーロで円高に振れたほか、原油相場の先行き不透明感を背景に先物が主導する格好で、現物株にも売りが波及する場面もみられた。さらに中国が南シナ海の西沙諸島に地対空ミサイルを配備したと伝わると、米中の地政学リスクも不安視される場面も。その後は16000円処での底堅さが意識されていたが、週末には原油相場の荒い値動きや経済協力開発機構(OECD)による世界経済見通しの引き下げが嫌気され、終値での16000円回復とはならなかった。

今週も引き続き、原油相場や為替市場の動向を睨みながらの相場展開が続きそうである。19日のNY原油先物相場は、週間の米石油在庫統計で原油在庫が増加したことを受けて、再び1バレル30ドルを割り込んでいる。サウジアラビアやロシアなどの主要産油国による原油の生産調整に向けた動きを疑問視する向きも多く、明確なボトム形成を見極める必要がある。また、為替市場では世界経済をめぐる懸念を背景に、安全資産とされる円が買われている。週末の米国市場では1月のコア消費者物価指数(CPI)上昇率が市場予想を上回ったことを受け、追加利上げペースが一部の予想よりも速まるとの見方が再浮上している。

こういった状況の中で、今週は上海で26-27日に開催される20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議での協調姿勢へ関心が集まろう。国際通貨基金(IMF)のラガルド専務理事は、各国の政策決定が世界経済に及ぼす影響について集中的に協議する必要があるとの考えを示しており、各国の協調姿勢による金融安定化への思惑等から売り込みづらい状況になろう。もっとも、G20通過後の失望を警戒する向きもあり、方向感は掴みづらくなりそうだ。

一方で、先週は週半ば以降こそ戻り売りに押されたものの、ソフトバンクグループ<9984>がストップ高を交えての上昇を見せる中、投資家のセンチメントを改善させている。また、前週分(8-12日)の信用需給状況をみると、買い残高は2500億円超の減少となり、これは昨年8月のチャイナショック時(2800億円)以来の減少であり、需給整理は相当進捗したとみられる。マイナス金利導入により、個人マネーはリスク資産にシフトしてきていると報じられているなど、個人の中小型株物色は活発になりそうである。G20を控え日経平均が16000円処でこう着となるようだと、個人マネーは新興市場など中小型株への活発な値幅取り狙いの商いに向かわせることになりそうだ。

その他、経済指標では22日に2月のユーロ圏製造業PMI(速報値)、23日に2月の独Ifo景況感指数、1月の米中古住宅販売件数、24日に1月の米新築住宅販売件数、26日に10-12月の米GDP(国内総生産、改定値)が発表される。GDP改定値などは、米追加利上げペースへの見方への思惑につながり、相場の変動要因になりやすいだろう。

《FA》

 提供:フィスコ

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