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【経済】NYの視点:イエレンFRB議長は利上げペース鈍化を示唆する可能性=議会証言


米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長は今週、米下院金融サービス委員会や上院銀行委員会で半年に一度の金融政策や経済に関する証言を予定している。2015年末の連邦公開市場委員会(FOMC)でほぼ10年ぶりの利上げに踏み切ったのち、2016年初からのチャイナショック、ドル高、新興諸国や世界経済の鈍化で金融市場は混乱し、米国の経済のピクチャーも大きく変わった。製造業だけでなく米国経済に重要なサービス業にも鈍化の兆しが出始め、一部では景気後退懸念も浮上。経済だけでなく、米国企業の収益も減少するとの懸念も強まった。原油価格など資源相場で回復の兆しが見られない中、原油関連企業が経営難に陥っている。景気に不透明感が強まるなか、議会証言では、イエレンFRB議長の景気判断や見通しに焦点が集まる。

米労働省が先週発表した1月の雇用統計は1-3月期の国内総生産(GDP)が2%前後の成長と2015年10-12月期から成長が拡大する可能性を示唆したほか、FRBの年内の利上げを正当化した。非農業部門雇用者数が予想を下回ったものの15万人増は依然、雇用が依然拡大する範囲であるほか、3ヶ月平均も20万人を上回った。失業率は予想外に低下し8年ぶりの低水準。平均労働時間も増えており、失業率が一段と低下する可能性が示唆された。しかし、イエレンFRB議長が雇用のたるみを判断する上でJOLT求人件数と同様に注視している19の雇用指標から成る労働市場情勢指数(LMCI)は0.4と、市場予想の2.0を大幅に下回り、2015年4月来の低水準となるなど、雇用の成長がピークを付けた可能性もある。FRBが利上げに踏み切った12月のLMCIは2015年1月来の高水準2.9から2.3へ下方修正された。

今まで2016年内の4回の利上げが「理にかなう」との見解を示していたNY連銀のダドリー総裁は「金融混乱が長期化した場合、FRBは政策決定で真剣に考慮する必要がある」と言及し姿勢をハト派寄りに転換。やはり2016年初に、本年4回の利上げが「適切であると思われる」としていたフィッシャー副議長も金利見通しに不透明感が強まったことを示唆しタカ派姿勢を緩和した。連邦公開市場委員会(FOMC)の中でも影響力があるとされる3名のうち、2名がタカ派姿勢を緩和。イエレンFRB議長はこの議会証言で、利上げのペースを一段と遅くする方針基盤をつくることができる。

《NO》

 提供:フィスコ

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