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【特集】リプロセル Research Memo(7):18年3月期から国内での再生医療事業を開始


■中期経営計画とトピックス

(1)中期経営計画

リプロセル<4978>の中期経営計画では最終年度となる2018年3月期に連結売上高3,170百万円、経常利益595百万円を目指している(Biopta子会社化前の計画)。売上高については海外子会社でのクロスチャネル販売による研究試薬や生体試料、ヒトiPS細胞、受託サービスなどの成長が見込まれる。経常利益に関しては、再生医療分野への事業化に向けた取り組みがどの程度進むかにもよるが、現段階では595百万円を目標としている。

特に、今後は疾患患者のヒト細胞を使ったiPS由来の心筋、神経、肝細胞や、カスタムメイドとなる細胞製品の作製受託など創薬支援サービスが製薬企業を中心に拡大していくものと予想される。新薬の探索研究から前臨床試験までの創薬支援サービスのグローバルな潜在市場規模は約1.75兆円と業界全体の研究開発費(約7兆円)の2割強にあたるとみられている。探索研究や前臨床試験では現在、動物実験が行われているが、ヒトiPS細胞を用いることによって、より精度の高い実験が可能となるため、結果的に研究開発コストが低減すると見られている。前臨床試験を行うBioptaで早期にヒトiPS細胞を使った前臨床試験受託サービスを立上げていく方針であり、今後の成長が期待される。

また、将来の主力事業と目される再生医療分野に関しては、2017年3月期中に開発ターゲットや共同パートナーを探索し、2018年3月期より国内で事業を開始していく計画となっている。当初は、海外で開発を進めている企業と共同開発販売契約を締結し、国内で再生医療等の条件・期限付き早期承認制度を活用して臨床試験を進めていく計画となっている。2014年秋に、臨床試験の開始から収益化までの時間を大幅に短縮する同制度が施行されて以降、海外の有力ベンチャー企業からの問い合わせも多くなっており、同社の保有するヒトiPS細胞の作製技術や細胞培養受託サービスの技術基盤を活用して事業化を進めていくことになりそうだ。ターゲットとなる細胞は、体性幹細胞のうち神経、心筋、神経細胞となり、疾患としては脳梗塞や心臓疾患などが対象となる見込みだ。事業化を進めるにあたって臨床試験など研究開発費が膨らむため、一時的に収益が悪化するリスクがあることには留意する必要があろう。

経済産業省等の調査報告書によれば、世界の再生医療の市場規模は2012年の3,400億円から、2020年に2兆円、203年に17兆円、2050年に53兆円(うち同社関連分野は42兆円)と急速に成長すると予測されるなど有望市場となっている。同社は高品質・高効率なヒトiPS細胞の作製技術、及び関連試薬の製造販売、創薬支援サービスまで手掛けるヒトiPS細胞に関するワンストップソリューション企業として、今後の再生医療市場をけん引していくことが期待される。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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