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【経済】北朝鮮ウォンは「反落」か、核実験実施で国際的な制裁も


 北朝鮮は6日、同国内で2013年2月以来、約3年ぶりに核実験を実施し、「成功」したと発表した。日本と韓国の慰安婦問題に関する歩み寄りを意識した示威行為とみられるが、18年ぶりにダボス会議出席を予定するなど経済発展を急ぐ北朝鮮にとっては不利に働こう。経済成長とともに通貨高は続くものの、今後国際社会から制裁を受ける事態に発展すれば北朝鮮ウォンは「反落」が見込まれる。

 韓国銀行が毎年実施している北朝鮮経済の調査によると、2014年の実質国内総生産(GDP)成長率は1.0%増で、2011年以降、4年連続のプラス成長となった。こうした経済成長を背景に通貨高が続いている。米中央情報局(CIA)のウェブサイトによると、北朝鮮ウォンは2010年には1ドル=145ウォンだったが、2014年は98.5ウォンと通貨高に振れている。一方、直近の訪朝経験者による報告書では、市場レートは7850ウォンで、実勢レートは約8000ウォンと推測される。韓国ウォンが足元で1ドル=1000ウォン程度なので、北朝鮮ウォンは韓国の8分の1程度ということになる。

 しかし、今後は「反落」する可能性が高まるだろう。CIAのレポートでは「1990年代半ばに深刻な飢きんに見舞われ、2009年末までは国際社会から大規模な食糧支援が行われた。それ以降、食料支援は大幅に減り、国民の大多数は栄養失調状態が続いている」としている。輸出の半分以上、輸入の8割を中国に依存していることから、中国経済の減速や人民元安は北朝鮮経済にとっては大きな誤算でもある。さらに経済制裁などに発展すれば、国家存亡の危機につながる可能性がある。
《TY》

 提供:フィスコ

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