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2015年12月25日16時03分

【特集】TOKAI HD Research Memo(4):通期業績予想は据え置いたが、利益が上回る可能性も


■今後の見通し

(1) 2016年3月期の業績見通し

TOKAIホールディングス<3167>の2016年3月期の連結業績は、売上高が前期比2.5%増の192,200百万円、営業利益が同13.8%減の7,760百万円、経常利益が同13.3%減の7,410百万円、当期純利益が同17.7%減の3,240百万円と期初計画を据え置いている。減益要因となる光コラボ関連の販促費用については期初計画どおり30億円程度を見込んでいる。足元の収益状況は順調に推移しているものの、主要商品であるLPガスの需要が冬季となり、CP、気温、為替などの事業固有の不確定要素があることから、今回は業績見通しを据え置いたが、通期の増益が確実に見えてくれば、修正を行うものとみられる。

第2四半期までの事業の進捗状況を見ると、利益ベースで期初計画を上回ったものの、顧客件数についてはブロードバンド事業を中心に約3万件下回っている。このため、下期の顧客件数の動向が注目ポイントとなろう。特に、同社は2016年4月から家庭向け電力小売りサービスへの参入を計画しており、2016年1月より予約受付を開始する予定となっている。予約を開始する際には、LPガスやブロードバンド、CATVといった同社の既存サービスとのセットメニュー価格を導入し(公表は2015年末を予定)、お得感を出すことで予約件数の積み上げを図っていく考えだ。

セットメニューの導入によって、新規顧客の拡大だけでなく、複数サービス契約率の上昇が予想され、同社の収益拡大にも弾みが付く可能性がある。複数サービスに契約すれば、顧客との結びつきが強化され、解約率の抑制につながるほか、ARPU(1契約者当たり売上高)が拡大すると同時に、契約獲得・維持コストも低減するためだ。同社の顧客数のうち複数サービスに契約している比率は全体の7%程度にとどまっており、同比率の向上が今までの経営課題となっていたが、今回のセットメニュー導入によって、状況が大きく変わる可能性があり、その動向が注目される。

なお、電力小売りに関しては、東京電力との販売提携により2015年10月より中部電力エリア内で法人顧客向けに高圧電力の販売営業を開始している。同社の産業用LPガスの顧客向けを中心に、割安感を打ち出すことで契約を獲得していく方針だ。

○LPガス事業
LPガス事業では電力をフックとしたその他グループ内のサービス・商材(ブロードバンド、CATV、アクア等)とのセットプランを2016年4月より提供していく予定となっており、解約率の抑制だけでなく新規顧客開拓を強化していく戦略だ。現在、国内でのLPガスの需要世帯数は約2,400万世帯となっているが、LPガス事業者は約2.1万社と多く、そのうち8割以上が契約件数で1,000件以下の中小零細企業となっている。同社は業界第3位であるが、それでもシェアは2%強程度に過ぎない。エリア別のシェアで見ると、静岡県が19.6%とトップシェアで、関東(1都6県+福島県)で6.3%と第2位に位置している。これら既存エリアでの顧客件数の拡大だけでなく、今期より新たに営業活動を開始した東北エリアや東海エリアで今後、セットプランによる価格優位性を打ち出し、新規顧客の開拓を進めていく方針だ。新規開拓に当たっては、既に顧客基盤を持つ中小零細事業者との提携やM&Aなども活用しながら進めていく。電力自由化を契機に、今後LPガス事業者の淘汰と大手事業者への集約化が進むものと予想され、同社にとっては事業拡大のチャンスとなろう。

○CATV事業
CATV事業では引き続き、集合バルク施策を推進して行くと同時に、リーズナブルな通信・多チャンネル放送メニューを提供していくことでARPUを確保していく。また、今下期は既存の優良顧客(放送+通信サービス契約者)への定期巡回専属部隊を組織化し、顧客との関係強化を進め、2016年4月からは電力をフックとした他のサービス・商材とのセットプランを提供していく。

○情報通信(ブロードバンド)事業
下期も光コラボの転用に向けた取り組みを強化していく。第2四半期までに実施した顧客へのアプローチ結果を活用して、成約見込み度合いの高い顧客へ優先的にテレマーケティングにてアプローチしていくほか、家電量販店での営業スタッフも10月から20%増員した。2016年1月からは電力とのセットプラン導入によるお得感も打ち出すことで、計画の達成を目指していく。

同社の光コラボのサービス料金に関しては、月額5,100円※と業界最低水準に設定している。従来はISP部分のみのサービス提供での月額1,200円を計上していたが、ISPと光幹線部分をサービス提供する光コラボ契約では月額5,100円と従来に比べて1契約当たりの売上高が4倍強になる計算で、増収インパクトは大きい。
※戸建住宅の場合、2年バリューパック料金で月額5,100円、集合住宅の場合は月額3,800円で提供している。なお、集合住宅の場合、8月末までに契約すると1年間は3,700円となる。

一方、利益面に関してみれば、ISP単独の場合と比較して粗利益でおよそ1.5倍増になっているとみられる。このため、光コラボの契約比率が今後上昇してくれば、売上粗利益率では低下要因となるが、粗利益の絶対額では増加要因となる。1契約当たりの顧客獲得コストが従来と同水準だったとすれば、利益へのインパクトも大きいと言えよう。

2016年3月期のブロードバンド事業の営業利益は、販促費用を30億円積み増すため、前期比27億円減の7億円となる見通しだが、2017年3月期は販促費用が一段落することにより営業利益は31億円まで回復し(期初計画段階)、連結業績の増益要因となることが予想される。

○アクア事業
アクア事業では新規契約獲得数がやや落ち着いてきたことから、自社チャネルでの営業展開に加えて、今後は他社との提携による販売チャネルの拡充により、顧客件数の拡大を進めていく方針だ。具体的な動きも既に出てきており、11月には大手ISPのビッグローブ(株)と顧客獲得に関する業務委託契約を締結した。国内ISPで業界第3位となるBIGLOBE(会員数300万人超)のWebサイトを通じて新規契約の獲得を進めていく。同社では現在、代理店150店、取次店2,000店の全国販売網やWebの販売チャネルから顧客を獲得しており、業界シェアは約4%と業界第6位に位置している。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)

《HN》

 提供:フィスコ

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