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【特集】17年ガス小売り自由化で期待の株 <株探トップ特集>


―改正ガス事業法成立で「導管」需要拡大へ―

 2016年4月から、一般家庭でも、従来の地域電力会社だけではなく、新電力会社からも電力を買える「電力自由化」がスタートする。その一方、翌17年4月からガスの小売りについても自由化されることは意外に知られていない。電力に比べて、都市ガスの普及地域はいまだ限られていることから、今後、自由化を控えてインフラ整備が進むとみられており、これに伴うガス導管の需要増などが見込まれている。

●経産省が整備計画作成に着手

 今年6月、改正ガス事業法が成立した。同法では、現在は全国で200社を超える「一般ガス事業者」がガスの製造から導管、小売りを一貫して手掛けているが、これを電力の発電に相当する「LNG基地事業」、送配電に相当する「ガス導管事業」、小売りを行う「ガス小売事業」の3つに再編する。そのうえで3分野それぞれで新規参入を促し、競争原理を働かせるのが狙いだ。

 現在、都市ガスは、原料の天然ガスを海沿いの基地に船舶で運び入れ、ガスを製造し、地下を走る導管を通じて企業や家庭に供給している。前述のように、これまではガス会社がそれぞれの営業地域内で、自ら導管を整備してきたが、その結果、都市ガスの普及地域は日本の国土の6%程度と、電力などに比べ整備が遅れていた。

 ガス導管が未整備のままでは、法制度上は自由化しても、その恩恵を受ける消費者が少ない。そのため、経済産業省では来年をメドに全国のガス導管の整備計画を作成し、整備を促す方針だ。政府の計画に沿って導管を整備したガス会社には、整備費用の補助金を手厚くして建設を促すことなども盛り込まれる予定で、強制力はないものの、整備推進への効果が期待されている。

●鋳鉄管、積水化など注目

 整備計画で、特に商機拡大が見込まれているのが、ガス導管メーカーだ。ガス導管には、管内を流れるガスの圧力によって高圧管、中圧管、低圧管などがあるが、高圧管は新日鉄住金 <5401> 傘下の新日鉄住金エンジニアリングや、JFE <5411> 傘下のJFEエンジニアリングが大手といわれている。

 一方、中圧管・低圧管では、ダクタイル鋳鉄管や耐震性に優れるポリエチレン管が中心で、この両方を手掛けている代表的な銘柄が鋳鉄管 <5612> だ。同社は水道用の鋳鉄管が有名だが、ガスの導管でも大手の一角を占めており、整備計画による恩恵は大きい。

 このほか、ダクタイル鋳鉄管では栗本鉄 <5602> やクボタ <6326> グループのクボタシーアイが、ポリエチレン管では積水化 <4204> や三井化学 <4183> がそれぞれ高シェアを有しており、整備計画による需要増が期待されている。

●敷設工事やメーターにも恩恵

 一方、ガス導管の整備では、導管の敷設工事のウエートが比較的大きい美樹工業 <1718> [JQ]や協和日成 <1981> [JQ]などへのメリットが大きい。さらに、インフラの整備が進み、都市ガスの利用が増えればガスメーターの更新需要も発生するとみられている。ガスメーター大手のアズビル <6845> 、愛時計 <7723> などのビジネスチャンス拡大にもつながりそうだ。

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