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【特集】「検証・インバウンド関連/後編」 【株経トップ特集】

―中国リスク重荷も、中期買い場を提供―

●「インバウンド需要=中国」ではない

 これに先立つ13日に中国国家統計局から発表された8月の主要経済統計では中国の設備・建設投資の動向を示す固定資産投資は、1~8月に前年同期比10・9%増と1~7月からさらに鈍化していることが確認されたほか、8月の鉱工業生産も市場コンセンサスを下回る内容だった。

 また、「爆買い」のもう一つの拠りどころとなっていた人民元高も、中国人民銀行が8月中旬に3日連続で実施した人民元切り下げによる元安誘導で、根拠が希薄化しているという背景もある。

 ただ、株価は実態にオーバーシュートするというのは相場の常である。市場では最近の世界株安連鎖が中国発であったことから、「インバウンド関連についてもマイナス要素が必要以上に極大化されて伝わっている印象が強い」(国内準大手証券)との冷静な指摘もある。前出の馬渕氏は「訪日客が日本に落としていくお金で中国人が全体に占める割合は2割強に過ぎず、インバウンド需要はイコール中国ではない」とし、行き過ぎて売られた分は、早晩買い戻されるかたちとなるだろうと予想する。

 少なくとも、中国の景気減速は計画経済の下で今に始まったことではなく、減速下でも訪日客数は増え続け、旅行収支も一貫して黒字が拡大し続けている現実を再認識する場面かもしれない。

●訪日プロモーションで需要取り込み

 観光庁の田村長官は16日の記者会見で、2015年の訪日外客数が10日時点で過去最高だった昨年の1341万人を既に超えたことを発表した。政府が掲げる「東京五輪開催年の20年に2000万人」の目標達成はかなり前倒しされそうな雰囲気である。

 10月には中国で国慶節もあることから、政府は継続して訪日プロモーションを行い、需要取り込みを積極的に図っていく方針にあり、全体相場の落ち着きとともにインバウンド関連反騰の下地は徐々に整備されていくことになりそうだ。

 主軸を担うのは百貨店や家電量販店、ドラッグストア、100円ショップ、旅行会社、テーマパーク、ホテル関連など。押し目買い対象としては前出の銘柄に加えて、ラオックス <8202> [東証2]、サンドラッグ <9989> 、OLC <4661> 、セリア <2782> [JQ]、ツカダGHD <2418> 、相鉄HD <9003> 、明治海 <9115> などが有力とみられる。

情報提供:日刊株式経済新聞

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