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【市況】【中国株】波乱を乗り越え中期上昇継続 /冨田康夫 <夏の相場観>

日刊株式経済新聞 編集長 冨田康夫

 上海総合指数は6月12日に5178.19の高値をつけて以降、波乱展開となり7月3日には、3600台までの急落をみせている。
 こうした株価急落に対応して、中国人民銀行(中央銀行)は6月28日から、貸し出しと預金の基準金利を引き下げ、預金準備率も引き下げた。さらに、中国の上海取引所と深セン証券取引所は1日、証券取引手数料を8月1日から3割引き下げると発表した。

 1日の中国株式市場では主要株価指数が5%程度急落。相場は最近2週間にわたる下落トレンドが続くなかでの、中国政府による株式市場への対応策とみられる。
 景気減速懸念がつきまとう中国景気にとって、当然株価は極めて重要な要素となっている。株価の上昇は、資産効果を通して消費意欲を支え、景気にもプラスに働くためだ。
 株価下落に伴い投資家は必然的に下方リスクを意識しやすくなる。したがって、中国人民銀行は、今後も臨機応変にさらなる流動性供給、利下げ、そして、量的緩和をも発動する可能性がある。ただ、中央銀行が株安を抑制するためだけに金融緩和を利用しているとの印象を投資家に与え過ぎないことも肝要だ。

 上海総合指数を、やや長期的な視点から見ると、2007年10月に過去最高値の6124をつけた後、反落に転じ約1年後の08年10月の1664まで急降下した。その後09年8月にいったん戻り高値の3478をつけたものの、14年7月からの今回の上昇相場がスタートするまでの約7年もの間、低迷を強いられていた経緯がある。この7年間に日本や米国の株価はそれぞれほぼ2倍の上昇をみせている。したがって、上海総合指数は中長期的な視野に立てば、上昇の途上ということになる。

編集企画:株経通信(株式会社みんかぶ)     【夏の相場観】特集 より

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