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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「国策メリット株への投資を優先!」

●過熱感なき連騰、個人は様子見

 東京市場の下落に戸惑うことはしょっちゅうあるが、上昇でそうなるのは滅多にない。ところが、ここにきてそんな日々が続いている。もちろん、日経平均株価が10連騰もしているからだ(28日現在)。しかも、この原稿を書いている時点ではさらに続伸、11連騰しかねない勢いだ。

 これはもう久しく経験してないこと。いつこんなことがあっただろうかと過去を振り返っても思い出せない。調べてみると、実に27年前に10連騰があったというのだ。27年前とは1988年2月。その時は10連騰で終わらず実に13連騰している。

 まさにバブル真っ最中のことで、日々あまりに株が上がるため、13連騰といっても特別な記憶はないのだが、今回もそれに近い10連騰しているのだから、素晴らしい日々になっているということになる。

 しかし、率直なところ、そんな気持ちはしない。バブル期は市場全体が盛り上がっていたのに対し、いまはそれがないからだ。東証1部の出来高は28日こそ31億株に達したが、それまでは20億株台にようやく乗る程度。指標は上がるものの、市場閑散とまではいえないものの、盛り上がりなどかけらも感じられない日々だった。

 これは個人投資家のほとんどが様子見に徹していて、積極的な参入がないからといえる。それどころか、売りに回っている投資家も多いのが実際だ。

 では、誰が買っているのか。やはりGPIFをはじめとする各種年金基金、金融機関、投資信託、ラップ口座など大口資金の運用機関だ。その中には外国人投資家たちも含まれる。

 そのため、買いの対象となっているのが、日経平均ETFや同ブル2倍ETF、JPX日経400ETF、TOPIX ETFなどETFが多く、それにトヨタ <7203> 、村田製 <6981> 、ダイキン <6367> といったハイテク、機械、自動車などの代表的企業になる。そして、その他はまちまち。特に個人投資家好みの中小銘柄の多くは置き去りにされた格好になっている。

●円安をフルに享受だが、マイナス面も

 このような状況になっている真因はなにか。米国の利上げ時期を巡る見方に変化が生じているからだ。これまで利上げは、まずは6月実施説から9月実施説へと移り、最近では12月説も聞かれるようになっていた。米国経済の回復が遅れているとの見方からだ。

 ところが、イエレンFRB議長が5月22日の講演で、米経済は第1四半期の減速から持ち直すともに、国内外の向かい風も収まり始める見通しだとして、FRBは年内に利上げするとの見方を従来以上に明確に示したのだ。

 このところの経済減速についても、「一時的要因」が背景であり、一部の指標が弱含んでいるのも「統計上のノイズ(雑音)」の可能性があるとまで指摘したのだ。

 さらに議長は低インフレが長引いている点に言及、「雇用とインフレの目標を達成するまで金融引き締めを遅らせれば、経済を過熱させる恐れがある。それ故、景気回復が想定通り継続すれば、年内のいずれかの時点でフェデラルファンド(FF)金利の誘導目標の引き上げを開始することが適切になると予想している」と。

 これはもう、年内に利上げを実施しますと公約したようなもの。これにより、米国の株式市場というより、為替市場でのドルの動きが一変してしまった。ドルが一方的に買われはじめたのだ。それは同時に円安。東京市場は目下、その恩恵をフルに受けているといえる状況だ。

 ただ、円安はメリットを受ける企業ばかりとは限らない。それがマイナスに働くところも多いので、この点、今後市場にマイナスに働いてくる恐れがある。

 たとえばソニー <6758> だ。円高に対応するため長年努力してきたため、円安になるとかえって収益が落ちることになる。他のハイテク企業も似たようなところがあり、しばらくすると円安では利益が期待したほど増えないという見方が出てくる恐れがある。

 さて、このような状況で投資対象としたいのは、やはり国策の支援を受ける銘柄を優先するのが安全だ。

 この観点からは、まずは政府が医療費削減のために力を入れているジェネリック医薬品利用促進策のメリットを受ける日医工 <4541> 、ダイト <4577> になる。政府は日本のトイレを世界に普及させることにも熱心で、このほど「トイレ大賞」まで創設する力の入れようなのでTOTO <5332> の押し目狙いを。10月にマイナンバー配布が始まることから関連株としてNTTデータ <9613> 、CTC <4739> を。

 ハイテク株では社長が交代するカシオ <6952> が魅力的だ。

2015年5月29日 記
「チャートブック日足集」No.1572より転載

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