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【市況】【北浜流一郎の新興市場展望】


「ジャスダック銘柄・ETFに照準」

●煮詰まりつつあるマザーズ

 日経平均株価が絶好の動きだ。ついに07年7月につけた1万8261円の高値をクリアした。これは素直に喜びたいが、正直7年以上もかかってしまうとは思わなかった。せいぜい5年もあれば……と思っていたのだが、2年以上遅れて達成だ。

 しかし、ここが頂点になってしまっては意味がない。さらに上がってくれてこそ、08年に起きた暴落からの長い長い谷底相場に耐えた意味があることになる。

 この点、どうなのか。もちろん、続伸の確率が高いと見る。カギを握るのはドルであり、まだどんどん上がっているわけではなく、上昇余地をかなり残していると見てよい状況だ。

 では、肝心の新興市場はどうか。いまのところジャスダックが東証1部に連動高してくれているものの、マザーズ、REIT市場はともに失速中だ。ETFは総じて堅調で、この点は安心できるものの、やはり気掛かりなのはマザーズ市場になる。

 残念ながら昨年12月初めから下落に転じてしまい、時々反発の兆しを見せるものの長続きせず、浮上できないでいる。東証1部の堅調な動きから完全に取り残されてしまっていて、病状でレベルを表現するなら重症になる。

 主な原因は2つある。マザーズ銘柄に主に取り組んでいる投資家は、超短期トレーダーが多くなっていて、小さな反発ですぐに売ってくるため株価が伸びる時間がないのだ。

 そしてIPOの続出で、上場直後は上がるものの、早ければ翌日、遅くとも数日するとほとんどの投資家が見向きもしなくなって株価は急落。こんな銘柄が続出しているのが実際だ。 

 このような状況はいつまで続くのか。残念ながら正確な予想は困難ながら、状況の好転がそう遠くない可能性があることは紹介しておきたい。

 東証マザーズのチャートを見ていただけば分かることだが、いまのところ下値が860ポイントを底として固まりつつあるとともに、下落幅も縮小し、チャートがいわゆる煮詰まりつつある。現在のような形の場合、すぐの回復は困難でも、次第に回復に向かう確率は高くなる。

 ただ、以上は東証マザーズ全体についてのこと。個別にはさほど悲観することはない。

 衣料・雑貨のネット販売サイト「スーパーデリバリー」を運営するラクーン <3031> [東証M]、高級レストランやカジュアルイタリア料理店などを経営するYsテーブル <2798> [東証M]、居酒屋「芋蔵」などを運営するJグループ <3063> [東証M]など、有望企業は結構ある。

●タイミングが重要な日経ブル2

 しかし、安全策を取るなら、やはりETFやジャスダック銘柄がよい。ETFは各種指標を証券化して株と同様の扱いになっている金融商品なので、東証1部市場や海外市場が上がればそれに連動する形になる銘柄が多い。いまはこの点がプラスに働き、労せずして利益が増える銘柄が増加中だ。

 ゆっくりの上昇でよければ、日経平均に連動する日経平均ETFがあるし、もっとスピードを希望するなら、ややリスクが高くなるものの、日経平均の倍速で動くよう設定されている日経ブル2 <1579> [東証E]がある。

 正直、私はこの銘柄が大好きだ。日経平均が上がれば当然この銘柄も上がるし、何しろ日経平均の倍速で上がるのだから非常に魅力的だ。もちろん、倍速で上がるということは、倍速で下がることでもある。

 この点、当然リスクは高いので、投資の手法が大事になる。といっても大した手法ではない。日経平均が数日下げたところで投資する。こうするのが良策だ。それもできることなら2、3回に分けて買い下がる。こうすることでリスクを軽減できるのだ。

 ところが、これを逆にやってしまう人が結構いる。つまりどんどん上がっていくのに勇気を得て、追いかけ買いをしてしまうのだ。これは失敗への道になる。このため、いまは日経ブル2に投資するのはふさわしくないことになる。しかし、近くまた狙える状況は訪れるのだ。

 さて、注目銘柄。まずは医薬品の品質安定性試験に強いJCLバイオ <2190> [JQ]だ。中古厨房機器の販売で首位のテンポス <2751> [JQ]も高値圏ながら続伸力は強いと見る。

 経営コンサルタントの大手で、知名度、実績ともに首位クラスを維持し続けているタナベ経営 <9644> [JQ]も緩やかな上昇が続く可能性は高い。

 そして、最後は第一興商 <7458> [JQ]だ。コンビニ&カラオケ店の運営に乗り出している点に着目だ。

2015年2月20日 記

(月刊「チャートブック新興+2部」No.234より転載 )
(「株探」編集部)

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