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【市況】【北浜流一郎の乱にチャンスあり!】


「ソニーが映す地合いの好転」

●ギリシャ問題はEUの譲歩待ち

 相変わらず大きな気掛かり材料が3つある。年初から世界の金融市場を混乱に陥れ続けているギリシャの緊縮策を巡るギリシャ政府とEU連合&ECBとの対立。そして、ウクライナの内戦問題だ。

 最近やや影響力が薄らいでいるとはいうものの、原油価格の下落も忘れてはなるまい。

 金融市場から懸念材料が完全に消え去るなどということはあり得ないため、何事もない平穏無事な状況の訪れは期待しないものの、正直3つも居すわられては対応が難しくなってしまう。

 一つが改善したと安心すると、別の2つか、もしくは一つが存在感を増して市場の足を引っ張るからだ。

 現在もっとも重荷になっているのはギリシャの緊縮策問題。誕生したばかりの新政権は緊縮策に猛烈に反対している。ツイプラス新首相はEU諸国の紳士的な首脳たちと異なり、まさしく暴れん坊タイプ。通常の話し合いなど通じない感じなので、EU連合、ECB(欧州中央銀行)ともに大困惑だ。

 新首相は完全に開き直っているとみてよく、ギリシャが現状見るような困難に陥っているのは、欧州連合が財政支援を理由に緊縮策を強いたから。そのため、われわれはその傷が癒えるまでに時間が必要なのだ、などと完全にEU連合やECBのせいにしてしまい、これ以上の支援は必要ないとしている。

 しかし、6月までつなぎ融資はしろ、というのだからあまりに身勝手だ。そして、ドイツに対しては、戦災保障をしろと要求する始末で、これにはドイツもびっくりだ。

 要するに緊縮策をやめてしまうためには何でもするの姿勢であり、金融市場も落としどころがどこになるのかまったく読めないのが実際だ。

 ただ、外野席から見る限り、この対立はギリシャ側がかなり有利と見てよいのではないだろうか。経済的に逼迫したギリシャとしては理不尽だろうが強攻策に出るしかない。そのため、ツイプラス首相も敢えて突破者的なやり方をしていると見られるのだ。

 金融市場はそれを懸念して不安定な動きをしていることになるのだが、欧州連合としてもギリシャを完全に突き放し、圏外に放擲してしまうわけにいかない以上、ギリシャ側に大きく歩み寄る形で譲歩することになると見てよい。

 いまはそれを待たねばならないところであり、辛抱強い対応が求められる。

●シルバー関連株に注目

 幸いなことに、個別に見ると多くの銘柄が2進1退で高値へと進んでいる。そのモデル的銘柄がソニー <6758> だ。連日上がり続けているわけではなく、時々は反落するのだが、新値へと進みつつある。

 最近ある経済週刊誌がソニーに批判的な記事を掲載していた。第3四半期の業績発表では、スマホの年間販売計画において、実に3度目となる下方修正をした。当初5000万台としていた台数は20%以上も減り、3920万台にまで落ち込む見通しだ。

 そのため、スマホなどのモバイル事業については、今後約2100人の人員削減を実施し、それに伴って14年度に約70億円、15年度に約230億円の構造改革費用を計上する。改革が15年度も続くことになり、もはや発言と行動の整合性を取れなくなっている。

 通期の連結営業利益見通しは、赤字から一転して200億円の黒字に上方修正ながら、これまで業績に“化粧”をするかのように保有株や不動産の売却で必死に益出しして、赤字を埋めてきた、と手厳しい内容だった。

 しかし、それによって株価は下げなかった。これほど厳しいことを書かれると下げてしまっても不思議はなかったが、市場はそれを無視、ソニー株を買い続けていることになる。

 これはやはり地合いが好転しているため。こう見るのが妥当だ。株式市場は理屈で動いているのではない。投資家のマインドに従って動いているのであり、いまは多くの投資家がソニーの先行きの復活に期待を寄せ始めている。これが新規のマネーを呼び込み、この株を押し上げ続けていることになる。

 強いのは円安を背景とした輸出関連株だけではない。国内需要への依存度が高い、食品や地方銀行、私鉄などの株価もすべてではないものの、堅調に推移している銘柄が多い。

 ただ、インバウンド(来日外国人観光客増)関連株はいまのところ調整中だ。イスラム国による日本脅迫により、来日外国人が減少するとの見方からだ(しかし、実際はそんなことにならないと見ているが、いまのところ市場がそう観測しているのだからやむを得ない)。

 こんな状況下、注目したいのは高齢化社会の拡大を考えて、まずは参天薬 <4536> だ。白内障、緑内障、黄斑変性症患者の増加が必至であり、関連薬品の需要が増えると見てよい。

 その他での病気でも病院通いが増えるため、調剤薬局最大手のアインファマ <9627> も魅力的だ。

 高齢になると総菜作りも面倒になり、買ってしまう人が増えるだろうから、総菜に強いRフィールド <2910> も注目だ。

 意外なところでは、紙おむつ用繊維に強い旭化成 <3407> だ。

2014年2月13日 記

「チャートブック日足集」No.1558より転載
(「株探」編集部)

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